2008年9月30日火曜日

「フレンド英和辞典」と「別冊フレンド」は似ている商標かな?商標の類否判断その2


起業家支援プロジェクト DREAMGATE



こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

11月より、経済産業省後援のDREAMGATE
アドバイザーに就任いたしました。

上のロゴをクリックすると、DREAMGATEのウェブページに移動します。
DREAMGATE経由で無料相談を受け付けていますので、
商標などの相談事がありましたら、お気軽にご相談ください。

さて、昨日の話の続きです。

他人の登録商標と似ている商標は基本的に使えませし、
登録することもできません。

自社の名前や、売っている商品につけている名前と
似ていそうな登録商標があるかどのように考えればいいのでしょうか?

登録商標の商標(つまり、名前)と似ているかは、4つの観点から考えます。

1.見た目が似ている
2.音が似ている
3.意味が似ている
4.取引の実情

1.見た目が似ている(専門用語では外観類似といいます。)

 例えば、「キスミー」や「キスミ」って長音があるかの違いで
 見た感じ似てますよね。

 例えば、「JNOC」や「JNCO」も似てますよね。

 このように、見た目が似ている商標は似ていると判断されます。

2.音が似ている(専門用語では称呼類似といいます。)

 例えば、「Pba(ピービーエ)」と「BBA(ビービーエー)」や、
 「M sytle(エムスタイル)」と「エヌスタイル」
 などは、音が似ていますよね。

 このように、音が似ている商標は似ていると判断されます。

3.意味が似ている(専門用語では観念類似といいます。)

 例えば、「アトム」と「鉄腕アトム」や、
 「ふぐの子」と「子ふぐ」って意味が似ていますよね。

 このように、意味が似ている商標は似ていると判断されます。

4.取引の実情

 上の3つの判断基準は、取引者や一般の需要者を基準に考えます。

 上の3つの判断基準で似ていると思われても、取引の実情を考えて、
 似ていないと判断することもありますし、
 上の3つの判断基準で似ていないと思われても、取引の実情を考えて、
 似ていると判断することもあります。
 
 例えば、「フレンド英和辞典」と「別冊フレンド」(漫画雑誌です。)は、
 一見、見た目も、音も似ているので、似ている商標と思われます。

 しかし、書店に行って、「フレンド英和辞典」を買いたい人が
 「別冊フレンド」を誤って買うとは考えられません。

 つまり、
 「英和辞典と本願商標に係る漫画雑誌とは内容、用途が全く異なる。
  したがって、需要者が両者の出所を混同するとは考えにくい。」
 (平成 3年 (行ケ) 192号)
 ので、似ていないと判断されました。

このように、商標が似ているかどうかは、

1.見た目が似ている
2.音が似ている
3.意味が似ている
4.取引の実情

の4つの観点で考えます。

自社の名前や、商品名を考えるときに、
そのような観点も加えていただければ幸いです。

お読み頂きありがとうございました。

2008年9月29日月曜日

「アサヒビール」と「朝日新聞」は商標的には似ているか?商標の類否判断その1

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

朝日新聞とアサヒビール
よく似ている登録商標ですが、
似ていると思いますか?

音がそっくりだから、似ているんじゃないの?
といわれそうですが、
商標法的には、実は似ていません。

突然ですが、登録商標が似ているってどのように判断するか
ご存知ですか?

登録商標と似ているかどうかという判断が、
この世界では非常に重要になります。

例えば、他人の登録商標と似ている商標は登録されません。

それに、他人の登録商法と似ている商標を勝手に使うと、
商標権侵害となる可能性があります。

このように似ているかどうかの判断が重要なため、
我々弁理士は、他人の登録商標と、お客様が使う商標(使いたい商標)とが、
似ているかどうかを判断することを仕事にしています。

さて、どうやって似ているか動かを判断するかといいますと、
登録商標が似ているかどうかは、商標自体(名前、ブランド名)と、
その商標が使われる商品や、役務(サービス)との組合せで判断しています。

朝日新聞は、「アサヒ」を使っている商品が「新聞」ですし、
アサヒビールは、「アサヒ」を使っている商品が「ビール」です。

「新聞」と「ビール」とは基本的に異なる商品です。
それに、取引慣行を考えても「新聞」と「ビール」とが
ごっちゃにならないと思いますよね。

だから、似ていない登録商標です。
大体こんな感じで判断していきます。

まとめますと、似ている登録商標とは、

1.使っている商標自体が同じで、使っている商品や役務(サービス)が似ている
2.使っている商標自体が似ていて、使っている商品や役務(サービス)が同じ
3.使っている商標自体が似ていて、使っている商品や役務(サービス)が似ている

ということになります。

上の例では、登録商標「アサヒ」:商品「ビール」に対して、

1.商標「アサヒ」:商品「ウイスキー」
2.商標「旭」:商品「ビール」
3.商標「旭」:商品「ウイスキー」

がそれぞれ似ている商標となります。

このように、ある商標が、登録商標と似ているかどうかを判断しています。

お読み頂きありがとうございました。

商標権の侵害

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

友人と飲んでいるとたまに、

「鈴木さん、なんとなく人の商品名や会社名を勝手に使うと
 まずいような気がするけど、実際何か悪いことが起きるの?」

と聞かれることがあります。

「そもそも道義的にまずいでしょ!」と答えますが、

「そーじゃなくて。何か罰則とか、裁判沙汰になっちゃうの?」

期待されている答えは法律的なことの場合が多いようです。。。

「商標権侵害だとすると、民事と刑事の両方で責任を追及されることがあるよ。
 民事だと、差止請求や、損害賠償請求をされるし。。。」

「差止請求って何?」

「簡単に言うと、そのマークをつけてその商品売るなとか、
 そのマークをつけて営業するなって請求すること。
 裁判所でその請求が認められると、
 看板を張り替えたり、再度広告が必要になったり、
 商品のラベルを張り替えたりする必要が出てきて、
 結構お金がかかるよ。」

「そーなんだ。で、刑事は牢屋に入れられちゃうの?」

「う~ん。必ずしも牢屋に入るわけではないけど、
 個人に対してだと、懲役が最大10年だったり、
 罰金が最大1000万円だったりするし、
 法人だと、罰金が最大3億円だったりするから、
 結構きついよ。」

「3億円……。そーだね。きついねぇ~。」

「だから、他人の会社名や、商品名を勝手に使っちゃダメだよ。
 商標権を侵害した場合、知りませんでした、すみません。
 といっても許されないように法律ができているから、
 知らない。じゃすまないからね。」と釘を刺しています。

お読み頂きありがとうございました。

2008年9月28日日曜日

美容院と商標その1

先日、髪を切りに美容院に行きました。

そこで美容師さんに聞いた話です。

美容師さんの家の近くの駅に、
以前、某ヨーロッパのアパレルメーカと
同じブランド名の美容室がありました。

そこのお店は、まめに駅でティッシュを配っていて、
他店舗ながら、がんばっているなぁ。と思っていたそうです。

ところがある日、お店に工事が入りました。
そこそこ人が入っている美容院なので内装を
変えているのかと思ってみたら。。。

看板が変わって、名前が変わっていました!

黒字倒産?とも思いましたが、
店員さんも経営者も代わっていませんでした。

話を聞いてみると、某ヨーロッパのアパレルメーカさんから
商標権侵害だから、店名を変えるようにと言われてしまい、
泣く泣く店名を変えざる得なかったそうです。
(商標法第25条、第36条、第37条第1号かな?
 それとも不正競争防止法第2条第1項第1号、第2号かな?)

その美容院は、看板・内装・宣伝etc結構費用がかかったようです。

美容院を開業する前に、商標調査をして、
事前に違う名前で開業していれば、
いまさら店名を変えなくてもすんだのになぁ。。。

ちなみに、私の行っている美容院さんは、
商標登録をきちんとされているので、
心配はないと美容師さんに説明しておきました。

2008年9月27日土曜日

はじめまして

はじめまして

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

このブログでは、特許や商標などの知的財産権とビジネスとの関係などについて、
日々考えていることや、読んで面白かった本などを紹介していきたいと思っています。

最近読んで印象に残った本は、理性の限界で、良い頭の体操となりました。

例えば、完全に民主的な投票行動ができないという話が載っていて、
そろそろ総選挙が近いですし、欠点のある中、どのような制度を選択すれば
いいのかなと考えてしまいました。

そうそう、本ネタといえば、本の題名を商標登録したいという相談をたまに受けます。
実は、雑誌や新聞などは商標登録できますが、
基本的に、単行本などの本の題名は商標登録できませんよ。