2008年10月30日木曜日

使っていない商標を取り消すことができる(不使用取消審判)!

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、使っていない商標を取り消すことができる制度である不使用取消審判の話です。

日本では、商標を登録するときの審査において、申請した者(出願人)がその商標を使用しているかどうかを調べません。

ただ、出願人が、商標を使用する意思があれば、登録することができます。

このおかげで、商標を使用する前であっても登録が可能ですので、新商品を出す前に商標を登録して、事前に新商品を保護することが可能になります。

また、企画の段階で、複数の候補名やロゴを商標登録することによって、事業展開の幅を確保することも可能になります。

このためか、日本では、毎年数多くの商標出願があり、多くの商標が登録されています。

例えば、
2007年では、143,221件の商標出願があり、登録された商標は、 96,531件ありました。
2006年では、135,777件の商標出願があり、登録された商標は、103,435件ありました。

そして、商標権は、特許権や意匠権と違って、更新すればいつまでも権利が存続します。

このため、使っていない登録商標も、基本的には更新手続きさえすれば、いつまでも権利が存続してしまいます。
(日本では、更新時に商標を使用しているか否かを調べないため…。)

もしも、使っていない登録商標がいつまでも権利が存続してしまうと、その商標を本当に使いたいと思っている他人にとっては、商標選択の自由が奪われることになってしまいます。

また、そもそも商標制度は、使っている商標に付いた信用を守る制度です。

このため、商標法では、このように使われていない登録商標を取り消して、商標選択の自由を確保するため不使用取消審判という制度が作られています(商標法第50条)。

不使用取消審判では、3年間以上、正当な理由なく、日本国内で使われていない登録商標を取り消すことが可能になります(商標法第50条)。

例えば、ある商標を出願し、その後、先に登録されている似たような他人の商標があるという理由で、拒絶理由が来たとします。

そして、調べてみるとその他人の登録商標が3年以上国内で使われていないことがわかりました。

最初は、その商標を買い取ろうと交渉を始めましたが(自分の商標になっても拒絶理由が解消される)、かなりの金額を要求されたので、不使用取消審判を請求し、その他人の登録商標を取り消しました。

このように、不使用取消審判を利用することで、その他人の商標を取り消し、自社の商標を登録することができます。

<今日のまとめ>
1.商標は3年以上日本国内で使用していないと取り消され得る。
2.拒絶理由の解消方法の一つとして利用できる。

お読み頂きありがとうございました。


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新商品を展示会に出す前の準備(新規性)

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、新商品を展示会に出す前の準備の話です。
(知財以外にも展示会前に行う準備は数多くあるでしょうが。本ブログでは知財の話です)

新商品の完成後すぐに、「展示会に出展して顧客をつかむぞ!」とあわてて何も手を打たずに新商品を展示会に出展すると、出展後に他社から模倣品が販売され、模倣品問題に悩まされることがあります。

せっかく新商品を開発したのに、結局、安価な模倣品にシェアを奪われ、開発費などの回収が困難になってしまうのです。

そこで、模倣品の問題が発生してから、「模倣品から自社の技術を守るのが特許なんだろ。だから、新商品をを特許権などで守ればいいじゃないか。」と考えるかたもいるでしょう。

このような相談をたまに受けています。

しかし、残念ながら、出展後に新商品に関連する特許権を取得しようとしても、もう権利を取得することは非常に困難になります。

つまり、展示会で出展した新商品に使われている発明が世間一般に知られてしまうと、その発明はもう新しいものではないので特許権を取得することができなくなるのです(特許法第29条第1項)。

また、意匠権も基本的に取得できなくなります(意匠法第3条第1項)。

なお、意匠権は、ある種の手続きを6月以内に行えば、日本国内では意匠権を取得することができます(意匠法第4条)。しかし、仮に、その手続きをしたとしても、残念ながら一部の外国では権利化できません。

一方、新商品を展示しても、商標権の取得はできますが、展示会で展示したばっかりに、先に他人に新商品と同じ名前で商標出願の申請手続きを行われてしまい、自己の取りたかった新商品の商標が、他人に登録されてしまう可能性があります。

このように、展示会で出展してしまった後には、特許権・意匠権・商法権などの保護を得ることが難しくなってしまいます。

このため、特許権や、意匠権や、商標権が必要な場合には、展示会に出展する前に、特許出願・意匠出願・商標出願などを行うことを強くお勧めします。

特に、模倣の起き易い国でビジネスを行う場合には、展示会の出展前に新商品をどのように守って行くかを熟慮されると良いと思います。

<今日のまとめ>
1.特許は、展示会で発表すると権利化するのが難しい。
2.意匠は、展示会で発表してから6ヶ月以内だと権利化できる。
3.商標は、展示会で発表しても権利化できる。
4.展示会に出展する前に、知財による保護を始めたほうが良い。

お読み頂きありがとうございました。


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2008年10月29日水曜日

中国で地名商標が登録されてしまったときの対応方法(異議申し立て)

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、中国で地名商標が登録されてしまったときの対応方法の話です。

以前、中国で商標「青森」が商品「果物」で登録されたため、異議申し立てをして、4年ほどかけて、やっと取り消されたという事件がありました。

また、先日、中国で宮城が商品「米」などで商標出願されたため、審査の結果を待って異議申し立てをする予定であるというニュースがありました。

実は、日本でも中国でも異議申し立てという制度を利用することによって、登録商標を取り消すことができる可能性があります。

異議申し立てはどのような制度なのでしょうか。

中国でも日本でも、審査官がある商標を登録しても良いと思うと、公告されます。

そして、公告後所定期間の間、その商標登録に対して異議を申し立てることができます。
(簡単に言えば、登録商標の登録取消を求めることができます。)

これが異議申し立て制度です。

つまり、中国で地名商標が登録された場合には、異議申し立て制度を活用することによって、その登録商標の登録を取り消すことができます。

中国で「青森」が登録された事件では、関係者が努力し、異議申し立て制度を活用して、「青森」の登録を取り消すことに成功しました。

しかしながら、「青森」の登録を取り消すまでに結局3年以上かかってしまいました。
(大体、中国で異議申し立てをして、結果が出るまで3~4年かかります。)

そして、青森事件では取り消すことができましたが、3年かけても異議申し立てをしたとしても、つねに、勝つとは限りません。

さらに、異議申し立てには、お金も時間もかかります。

それでは、どうすればいいでしょうか?

中国は、先に国家工商行政管理総局に申請したほうが登録されるという先願主義を採用しています。

そこで、大切な地名商標が登録されてから異議申し立てで対抗するよりも、中国企業が申請する前に、地名商標の登録申請をしたほうが良いと思います。

<今日のまとめ>
1.中国で地名商標を登録されてしまった場合には、異議申し立て制度を使うことができる。
2.異議申し立ては、3年から4年かかる
3.異議申し立てよりも、先に登録したほうがさらに良い。

お読み頂きありがとうございました。


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なぜ弁理士は、起業する前に商標調査を勧めるのか?

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、なぜ弁理士は、起業する前に商標調査を勧めるのか?という話です。

起業するときには、社名を決めて、ロゴを決めて、名刺やパンフレットを注文して、開業のあいさつ回りをして、初めての仕事が来て、だんだんと会社が成長して行って、と楽しくもありますが、非常に忙しい毎日となります。

成功して、やっと一息ついたと思っていたら、突然警告状が来きてしまうことがあります。

内容を見ると、商標権侵害だから社名を変えろ!

仮に、起業してから3年経っていて、お客様にやっと社名を覚えられもらったのに、社名を変えるとなると、コストもかかりますし、不法行為をしていたのかと、会社のイメージも落ちてしまいます。

自分が独立をしたときのことを思い出すと、起業するためには、そのビジネスに対する深い思い入れがあったと思います。
(実際、私も弁理士業が楽しくてしょうがなくて起業したわけですし。)

そのがんばりの結果が、商標権侵害だから社名を変えろ!と言われてしまったら、がっくりときてしまいます。

このため、事前に他人の登録商標を調査して、自社の社名が登録されていないことを確認した上で、営業を開始することを強くお勧めします。

知人の会社でも、企業前にロゴや、パンフレットの注文を出す前に調査したことによって、最初に考えていた社名が他社の登録商標だったため、他の社名にすることにしました。

もしも、最初の候補の社名のまま、ロゴやパンフレットを注文していたら、これらが無駄になってしまうところでしたので、先に調査したことによって、40~50万円ほどセーブできました。

<今日のまとめ>
1.起業する前に商標調査をしたほうが良い。

お読み頂きありがとうございました。


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2008年10月26日日曜日

企業買収時の商標権の取り扱い

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、企業買収時の商標権の取り扱いの話です。

「ある企業を買収した場合、その企業が保有している商標権はどうなりますか?」

と知り合いのHさんから質問が来ました。

「鈴木さん、

 合併は、組織法上の行為であり、合併消滅会社の有する一切の
 権利関係は、当然に合併存続会社に引き継がれるから、商標権
 の移転の登録は、 今すぐ手続きしなくてもいいよね?

 更新時に手続きしようかと思うんだけど。まぁ問題ないよね?」
(ちなみに、商標権は、基本的に10年ごとに手続きをすることによって権利が更新されます。)

「基本的には、Hさんさんのおっしゃるように、
 合併なので、商標権は御社に承継されています。

 このため、移転の登録手続きは、更新のタイミングでもかまい
 ません。

 しかしながら、いくつかリスクがあります。

 第1に、例えば、住所などが今回の合併で変わった場合ですと、
 特許庁は移転手続きをしない限り、わかりません。

 このため、不使用取消審判(長いこと使っていない商標権を取
 り消す審判)を起こされた場合などに、特許庁から前の会社の
 住所に連絡が行き、買収に伴って、事業所が移転した場合、御
 社に連絡が行かない可能性があります。

 特許庁さんも、努力はしてくれているようですが、限界がある
 ようです。

 第2に、権利行使などを考えた場合、御社が商標権者であると
 証明するのに少々時間がかかってしまう場合があります。

 登録免許税は、合併の場合には、1商標権あたり、3000円
 ですので資金の問題もあるでしょうが、今、移転登録を考えら
 れてもいいのではないですか?」

「なるほどね。

 あとは、資金繰りのタイミングかなぁ。
 わかった。ありがとう。」

<今日のまとめ>
1.企業を買収した場合、商標権は一般承継される。
2.なるべく早めに特許庁に移転登録申請をしたほうが良い。

お読み頂きありがとうございました。


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2008年10月25日土曜日

漢字を使うだけに難しい(中国商標出願)

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、中国商標出願の話です。

当たり前の話ですが、中国人は漢字を読むことができます。

そして、我々日本人も漢字を読むことができます。

ところがですね。同じ漢字でも日本と中国とでは発音が異なります。

このため、漢字社名の会社が中国商標出願をするときに考慮すべき点があります。

例えば、「鈴木」は、

日本:「su zu ki」

中国:「ling mu」と発音され、日本と中国で発音が異なっています。

さて、この場合、どう中国商標を出願して権利化を図りますか?

漢字で取るか?それとも発音で取るか?それが問題です。
できれば、両方とも取ったほうがいいとは思います。

なぜなら、この「鈴木」株式会社が中国に進出したとして、商品に「鈴木」と「suzuki」とを付けたとしましょう。

現地ではたぶん、「ling mu」と発音されるでしょう。

すると、「鈴木」だけで、中国で商標権を取得をした場合、「suzuki」に権利が及びません。
(日本では、発音が同じなので、登録商標に似ているとして、権利行使が可能ですが。。。)

中国商標の実務では、「鈴木(ling mu)」と「suzuki」とでは、見た目、発音、意味がまったく異なるため、異なる商標として扱われます。

つまり、中国においては、商標権を「鈴木」だけしか持っていないと、「suzuki」と使っている人に対して、商標権に基づく権利行使ができないのです。

このため、漢字の社名を持つ会社は、中国で英語表記をする場合には、漢字と英語の両方で中国商標出願をお勧めします。

さらに、英語やカタカナの社名の場合には、中国における社名を深く考える必要があります。

日本と違い、中国ではアルファベットで社名の登記が認められていませんので、中国用に漢字で社名を考える必要があります。

例えば、ソニー、キャノン、カシオは、中国ではそれぞれ「索尼」、「佳能」、「卡西欧」という風になっています。

さらに、社名を作るときには、漢字に対する日本人と中国人との感覚の違いを考慮する必要があります。

例えば、「越」という漢字を見たときにどのようなことを思いますか?

中国人の知り合いに言わせれば、非常に優雅な女性的なイメージのある漢字だそうです。

このように、漢字が持つイメージが異なるので、せっかく漢字で社名をつけるならば、なるべく良いイメージとなるように、現地の知恵を借りたほうが良いと思います。

ちなみに、大陸と香港でも微妙に感覚が異なるようなので、ビジネスを行う場所に合わせてつけても良いかも知れません。


<今日のまとめ>
1.漢字社名の会社が中国商標出願をする場合には、漢字と英語の両方で権利化を狙ったほうが良い。
2.カタカナ社名の会社が中国商標出願をする場合には、中国語で社名を作る必要がある。
3.漢字の感覚は、国によって異なるので注意が必要である。

お読み頂きありがとうございました。


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2008年10月24日金曜日

料理人の召使。。。商標の普通名称化?

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、料理人の召使の話です。

先日、掘り出し物がないかと、ふらっと古本屋に入りました。

すると、荘子 (中国の思想)がなんと300円で、売っているではないですか。

300円ですよ。300円、ペットボトル2本分!

ついつい衝動買いをしてしまいました。

読んでみると、ある料理の達人の話が書いてありました。

その話は、ある料理人(当時の中国語では、庖)の召使(中国語では、丁)が、刀一本で恵王の前で牛を軽々と解体してしまいました。

そのあと、この庖丁が、恵王に達人の心得のようなものを話すという話です。

日本には、この庖丁が料理の達人の名前として伝わり、いつの間にか料理用の刀のことを包丁と呼ぶようになったようです。

ちなみに包丁を中国語では、菜刀(caidao)といいます。

もともと特定の言葉だったのが、いつの間にか普通名称化してしまった一例なのかなぁと思います。

登録商標も使い方によっては、普通名称化して権利行使ができなくなる場合があります(商標法第26条)

包丁さんは、荘子の書いた本の話だから良いですが、開発した新商品の登録商標が普通名称化すると、商標権として権利行使できなくなってしまい、困ったことになってしまいます。

例えば、エスカレータは、オーチス・エレベーター・カンパニー社の登録商標でした。

しかし、あまりにも有名になりすぎ、普通名称化してしまい。商標権の行使ができなくなってしまいました。

また、ナイロンも同様です。これもデュポン社の登録商標でしたが、ポリアミド系繊維の総称という普通名称化してしまいました。

つまり、登録商標は適切に管理しないと、普通名称化する可能性があるのです。

このため、多くの企業では、○○は、△△社の登録商標です。というような記載をして、自社の登録商標の普通名称化を防ぐ努力をしています。

みなさんの大切な登録商標はどうですか?

<今日のまとめ>
1.商標は登録されたあと、適切に管理しないと普通名称化して、権利行使ができなくなる場合がある。

お読み頂きありがとうございました。


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2008年10月23日木曜日

日本の農業のビジネスチャンス(中国商標)

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、日本の農業のビジネスチャンスの話です。

先日、上海出身の友人のHさんとランチに行きました。

もともとは、両親が日本に遊びに来るついでに、北海道に行きたがっており、中国人向けの北海道旅行を提供している旅行代理店の話をするのが目的でした。

でも、段々と話が弾んで

「Hさん。刺身とか食べられるんだ。

 結構、生ものだめな人多いじゃん。」

「好きだよ。

 最初は抵抗あったけど、今は大好きだね。」

「ふ~ん。

 そうそう、Hさん。青森事件って知ってる?」

「知らない。何?」

「中国で、青森って名前で果物の商標登録が申請されて、一回は登録された事件。

 Hさんは、日本に住んでるから青森県を知っていると思うけど、来る前は知ってた?」

「ううん。知らなかった。

 日本の知名だと、東京、大阪、名古屋、博多、北海道ぐらいかなぁ。

 北海道はなぜか、あこがれていた。

 逆に、鈴木さんは、奥さんと結婚する前に、中国の地名をどれくらい知ってた?」

「えっと。。。

 北京、上海、広州、成都、重慶、青島ぐらい。今はもちろん、もっと知っているけど。

 確かに、外国の地名って良くわからないよね。

 中国の商標法でも一般的に知られている外国の地名は登録できない。という規定があるけど(中国商標法第10条)。

 まあ、日本の県レベルでも中国ではほとんど知られていないから、登録されちゃうんだね。」

「鈴木さん。

 中国の省、今、どれくらい言える?」

「う。たぶん、15,16個ぐらいは言えるけど。全部は言えないかも…。

 そうそう。話は変わるけど、中国で日本製の野菜や果物が売れているってほんと?」

「うん。

 安全っぽいし、高品質で、美味しそうなイメージがある。

 今の仕事やめて、私も日本野菜の商社やろうかなぁ。と考えることときもあるよ。」

「だから、中国で日本の地名の商標を取ろうとする人が多いんだ。

 なるほどねぇ。」

というような、会話をしていました。

中国では、現在、日本製の野菜が人気があるようです(特に、有機野菜系)。

そして、目鼻の利く人は、日本の地名は、中国では一般的に知られていないので、中国で商標登録をして、権利行使を考えているのではないでしょうか?

むしろ、市場のニーズがあるのですから、こちらから攻めて行って、先に中国で商標権を取るとともに、市場シェアも獲得したらいかがでしょうか?

もちろん、アサヒビールさん達の山東朝日緑源農業高新技術有限公司のように、中国に農業分野で進出するという方法もあると思います。

参考:日経ネットの山東朝日緑源農業高新技術有限公司の記事

<今日のまとめ>
1.中国では、日本の農作物のニーズがある。
2.中国では、日本の地名が登録される可能性があるので、先に農協などで取ったほうが良い。

お読み頂きありがとうございました。


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発明を思いついたら気をつけること

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、発明を思いついたら気をつけることについてです。

美容院で店員さんと話していたとき、

「鈴木さん、

 発明って難しいものじゃないといけないんですよね?」

「え。そんなことないよ。

 結構簡単な構造でも特許になったりするよ。

 それに、実用新案権という方法もあるし。」

「そうなんですか!

 笑わないでくださいね。

 実は、俺、一つアイデアがあるんですよ。

 ○○を△△したら便利でいいと思いません?」

「それ、いけるかも。いいじゃん。」

「でしょ、でしょ。

 みんなに話してもね。いいね。って言ってくれてるんですよ。」

「え。話しちゃったの…。」

「話しちゃいましたけど、何かまずかったですか?

 ……。

 まずかったんですよね。きっと。」

「うん。特許権を取るのは難しいかもなぁ。

 特許権を取るには、特許庁に申請書類を出すまでに、

 基本的に他人に発明の内容を知られちゃいけないんだ。

 だから、今回の場合、ちょっと厳しいかも…。」

「え~。鈴木さん、そーなんですか。

 ひどいじゃないですか。早めにそれを言ってくださいよ。」

「そんなこと言われても、Nさんがそんなアイデア持ってるって知ったのは、

 たった今だったし。言えるわけないじゃん!!

 今度から思いついたら、すぐ連絡してよ。

 自分ら、弁理士は守秘義務があるから、話しても平気だし、

 いつもお世話になっているから力を貸すよ。」

<今日のまとめ>
1.発明を思いついたら、特許庁に申請するまで秘密にする必要がある。
2.守秘義務(秘密にする義務)がある人には話しても平気である。
3.弁理士や、弁護士は守秘義務が法的に課せられるため、安心してご相談ください。

お読み頂きありがとうございました。


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2008年10月20日月曜日

特許や商標のライセンス その3

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、特許や商標のライセンスの話です。

今までライセンスには、

 特許では、専用実施権、通常実施権
 商標では、専用使用権、通常使用権

という種類があって、

通常実施権や、通常使用権は登録しないと、基本的に第三者に対抗できないという話をしてきました。

今回は通常実施権についてもう少し書きます。

あるベンチャー企業(A社)を経営していたとしましょう。

自社の製品に、B社の特許Pを使うと競争力が高まることがわかりました。

しかし、A社には、B社から特許Pを買うほどの資金力がありませんし、B社は専用実施権も設定してくれません。

そこで、A社は、B社から特許Pの通常実施権によるライセンスを受けることになりました。

そして、A社は、B社から導入した技術によって、競争力が向上し、市場シェアも上昇し、売上ものぼり調子でした。

ところが、B社が資金繰りにつまり、特許Pを競合他社のC社に売ってしまったのです。

こうして、A社は、特許Pにかかる製品を売ることができなくなってしまい、売上が下がってしまいました。

数年後、A社は再度盛り返し、今度はD社から通常実施権を受けることになりました。

前回の失敗に懲りたA社は、今度は通常実施権を登録することにしました。

さて、通常実施権を登録する場合

 1.特許番号
 2.地域
 3.期間
 4.内容(どんな方法で実施するかや、質的、材料的な制限など具体的な内容に関わること)
 5.対価の額や、支払い方法など
 6.申請人

などの情報を書類に記載する必要があります。

A社は、これらの情報を書類に記載し、自己の通常実施権を登録しました。

こうして、A社は安心して、事業を継続していきましたとさ。。。となればいいのですが、成長に伴って新たな問題が発生してきました。

つづく


<今日のまとめ>
1.通常実施権は登録しないと、ライセンサーの倒産などによって影響を受けてしまう。

お読み頂きありがとうございました。


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2008年10月18日土曜日

保育園の運動会の撮影も保護される

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

昨日は、保育園で運動会がありました。

一所懸命にがんばる子供たちに感動して、保護者参加の競技ではついついがんばってしまいました。

まあ、がんばりすぎたので、今日も体が痛いのはご愛嬌で…。

運動会では、子供たちの走る姿や踊る姿も気になりますが、職業柄、他の保護者の方々が使っているデジタルビデオカメラも気になってしまいました。

子供がかよっている保育園では、ソニーさんとPanasonicさんのシェアが高かったです。また、ほとんどの保護者がSDメモリーカード搭載と思われるモデルを使っていました。

さて、保護者同士で撮影データのやり取りをすることがあると思いますが、もらった撮影データを勝手にyoutube(登録商標)などにアップすると、著作権侵害と言われる可能性があります。

運動会の撮影データが著作物なの?と思われる方もいるかもしれません。実は、著作権で保護される著作物は、「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」です。例えば、子供の書いた絵や、風呂場で歌う鼻歌であっても著作物になる可能性があります。

つまり、著作権の保護対象は、商業ベースで販売されている映画や、小説だけではないのです。例えば、ネットでちょっといいなぁと思うような画像、文章も著作権で保護されている可能性があるため、これらをコピーして使っても著作権侵害となる可能性があるのです。

実際私が受けた相談にも、Website作成業者の方が、ネットに流れている写真を顧客のWebsiteに使用したため、顧客が写真の著作権者から警告を受けたということもありました。そのときのケースは、ほぼ黒でしたので、和解金額などの相談となってしまいましたが…。

まあ、保護者同士のデータのやり取りでは、著作権についてとやかく言うことは少ないとは思います。ただ、著作権は、商業作品以外も持っているということは忘れないでくださいね。

<今日のまとめ>
1.著作権は商業作品以外も有し得る。
2.ネットで流れている画像データなども著作権を有し得る。

なお、ネットにビデオ画像をアップロードする際には、著作権法の問題以外にも、肖像権の問題、子供の画像ですと防犯の問題など色々な問題がありますが、今回のエントリーでは触れませんでした。

お読み頂きありがとうございました。


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2008年10月17日金曜日

イギリスの商標と意匠制度を聞きに大使館に行きました。

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、イギリスの商標と意匠の話です。

本日イギリス大使館に初めて行って、ITMAのセミナーを聞きました。
(ITMAとは、イギリスの商標弁理士会のことです。)

大使館に行くとドキドキしますね。
招待状を見せて、身分証を見せてと厳重な警備でした。

さて、セミナーを聞いた感想です。

欧州の商標制度も少し日本と異なりますが、
欧州の意匠制度(Community design)がかなり日本と異なっています。

Community designは、保護期間が25年だったり、
新規制喪失の例外の期間が12ヶ月だったり、
350ユーロと安かったりと色々と日本と制度が異なるそうです。

まだ、理解が足りないのでブログで上手く表現できませんが、活用の仕方によっては、低コストで欧州での権利保護ができそうな印象を受けました。

イギリスの商標弁護士の方も、商標のほうが強力だが、商品やサービスのライフサイクルによっては、Community designのほうが、コストパフォーマンスが良いと言っていました。

どなたか、一緒に研究しませんか?

参考サイト:OHIM

もう少し自分で理解できたら、ブログなどでCommunity Designの解説を書きたいと思います。

お読み頂きありがとうございました。


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初心者向けの特許権の抑え方

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、初心者向けの特許権の抑え方の話です。

ある新人弁理士さんから相談を受けました。

私もある程度この業界で生息しているので、お客さんからだけではなく、知っている新人弁理士さんから質問を受けることがあります。

彼はお客さんから

「請求項1で、ハンドル
 請求項6で、車
 の権利範囲なんだから、車だけではだめなのですか?」

という質問を受けたようです。

ちなみに、請求項は、特許発明の技術的範囲(簡単に言えば権利の範囲)を定めるもので、とても重要なものです。

確かに、請求項の数が増えると、特許庁に審査請求するための費用や、特許になった後の年金(権利を維持するためのお金)や、弁理士費用が高くなるので一見、無駄な出費に見えるかもしれません。

彼はそんな風にお客さんに言われてしまい。返答に困ったようです。

しかし、いざ権利になったときのことを考えると、話は変わると説明しました。

1.「ハンドル」の権利をとった場合

 ○メリット:ハンドル自体や、ハンドルを使っている車全てに権利行使がで
       きる。

 ○デメリット:ハンドルに対する権利なので損害賠償請求が認められたとき
        の金額が低額になりやすい。

2.「車」の権利をとった場合

 ○メリット:車に対する権利なので損害賠償請求が認められたときの金額
       がハンドルの権利だけのときよりも高額になりやすい。

 ○デメリット:ハンドル自体の売買に、権利行使をすることが困難である。

このため、我々弁理士は、多様な態様で特許権で抑える権利範囲を考えています。

こんな説明を新人弁理士さんにしたところ、またお客様に説明に行くといっていました。

上手くいくことを祈っています。

がんばれT弁理士!

<今日のまとめ>
1.特許権で発明を守るときには、様々な角度から考えることが必要がある。
2.特許権の侵害者が使用しそうな態様で権利を形成すると有用である。

お読み頂きありがとうございました。


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2008年10月16日木曜日

特許出願と株価 (トランスジェニック社の株価上昇)

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、特許出願と株価の話です。

最近、サブプライムローンの問題から始まって、株価がどんどんと下がってきております。

昨日、株式会社トランスジェニック(2342 東証マザーズ上場)の株価が急上昇というニュースがありました。

トランスジェニック社も10月に入ってから、株価が16,000円から9,000円ぐらいまで急落しました。
(参考、日経平均は、10月1日の始値11,396円から最大8,115円まで急落しました。)

ところが、昨日、新規膵臓がんマーカーに対する抗体などの特許出願をしたとプレスリリースしたところ、買い材料となり、始値9,500円から終値10,300円と上昇しました。
(日経平均は、昨日9,390円から9,547円まで上昇しました。)

本日の11時の段階では、日経平均は下がっておりますが、トランスジェニック社の株価が上昇しています。

まだ、今月始めの株価まで戻っておりませんが、特許出願をしたというニュースが株価反転のきっかけになったようです。

どのような状況であっても、症状が乏しく早期発見が難しい膵臓がんの患者さんのために、イノベーションを続け、その成果を特許出願したことが、株価の上昇のきっかけとなった良い例だと思います。

また、最近読んだ本で知ったのですが、ゼロックス社のジョー・ウィルソン氏は、以下のように、お金がなくともイノベーションに投資続けることが重要だと言われていたようです。

「戦後、ハロルド社の製品需要が細っていることを知り、お金がないにもかかわらず、チェット・カールソンが開発する技術にかけた。」
「顧客にとって価値あるものを生み出すのがゼロックスであり、それを可能にしてくれるのが革新的な技術である。イノベーションに投資するか、それとも滅びるか-ゼロックスのDNAを形成するウィルソンの教えである。」
イノベーターは死なず 日本経済新聞出版社 2008年8月出版より)

こんな時期だからこそ、顧客にとって価値のある技術・サービスを開発することによって、優位に立つチャンスなのではないかと思っています。

とは言ったものの、果たしてプロシード国際特許商標事務所は顧客にとって価値のある新しいサービスを提供できているのでしょうか?

自問する日々です。

<今日のまとめ>
1.特許出願のニュースで株価が上昇することがある。
2.イノベーションによって新たな価値を提供できる。

お読み頂きありがとうございました。

なお、株価のデータについては、yahoo financeを参考にしました。


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2008年10月15日水曜日

特許や商標のライセンス その2

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、特許や商標のライセンスの話です。

昨日の話では、特許や商標のライセンスでは、専用実施権(商標では専用使用権)、通常実施権(商標では通常使用権)の2種類があるという話をしました。

じゃあ。何が違うの?というところをもう少し書きたいと思います。

専用実施権(商標では専用使用権)は、あまり使われていません。

使われるケースとしては、海外にいる権利者が日本の販売代理店などに設定しているというケースなどが考えられます。

専用実施権は、一つの範囲に一つしか設定できません。
例えば、日本中にある特許発明の専用実施権を設定してしまうと、権利者自身であっても日本中でその特許発明が実施できなくなってしまいます。

このため、専用実施権(専用使用権)を設定すると権利者自身も使えなくなる点がネックとなり、使われていないようです。

[自分が権利者の場合]

権利者側の場合には、簡単に専用実施権(専用使用権)を設定しないほうが良いかと思います。

[ライセンスを受ける場合]

ライセンスを受ける側の場合には、第三者に対して権利行使ができるので、専用実施権の設定を狙っても面白いと思います。
(多くの場合、断られますが、トライする価値はあると思います。)

もう少し、ライセンスの話を続けたいと思います。

<今日のまとめ>
1.自分が権利者の場合には、専用実施権の設定は避けたほうが無難である。
2.自分がライセンスを受ける場合には、専用実施権の設定を狙っても良い。

お読み頂きありがとうございました。


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2008年10月14日火曜日

特許や商標のライセンス その1

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、特許や商標のライセンスの話です。

知財(知的財産権)のライセンス契約をするという話があるとき、
法律上は、2種類のライセンス方法があります。

1.専用実施権(特許法などの用語、商標法では専用使用権)
2.通常実施権(特許法などの用語、商標法では通常使用権)

今日は最初から法律用語を出してしまってごめんなさい…。

1.専用実施権(専用使用権)について、

これはほとんど特許権や商標権と変わらない力を持つ権利です。

例えば、特許権者のAさんが、Bさんに専用実施権を設定した場合、

Bさんは、
「Aさん、私の専用実施権の範囲では、その発明は使わないでくださいよ!」
ということができるくらいの強力な権利です。

このため、誰がこの強力な専用実施権(専用使用権)を持っているかは
重要な事項ですので、特許庁に登録しないといけません。


2.通常実施権(通常使用権)について、

これは、権利者との約束によって発生する権利です。

例えば、簡単に言えば。
「Aさん、その特許使ってもいい?」
「いいよ。その代わり、100万円払ってね?」
「了解。振り込むよ」
というようなやり取りで発生してしまいます。

つまり、当事者間の約束であり、
権利者から権利行使を受けないというような権利です。

このような権利ですので、基本的には登録は必要ありません。

ただし、例えば、Bさんが通常実施権者だった場合、
特許権がAさんからCさんに移ったときには、
Cさんに通常実施権があると基本的に主張できません。

なぜなら、AさんとBさんとの約束であって、
Cさんは関係ないからです。

ただ、それだとBさんは不安定な立場なので、
Aさんの協力を得て、Bさんの通常実施権を登録すれば、
Cさんに対して権利を主張することができます。

明日に続きます。たぶん。。。

<今日のまとめ>
1.ライセンスは、専用実施権(専用使用権)、通常実施権(通常使用権)の2種類ある。
2.専用実施権(専用使用権)は物件的権利のため、登録が必要である。
3.通常実施権(通常使用権)は債権的権利のため、登録が不要である。
4.通常実施権(通常使用権)は債権的権利のため、第三者に対抗するには登録が必要である。

お読み頂きありがとうございました。


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リンク集

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今までこのブログで紹介したリンクを
整理したいと思います。

○特許庁のwebsiteより

 商標制度の概要のビデオ(約20分)


 地域ブランドの守り方のビデオ(地域団体商標の概要)(約20分)

意匠権は、ものつくりの強い味方(約20分)

○「工業所有権情報・研修館」

 IP・eラーニングのページ


○日本弁理士会

 発明などの無料相談の説明ページ


○OHIM
OHIM(欧州共同体商標意匠庁)

随時このページは更新していきたいと思います。
(本リンク集の最終更新日2009年2月6日)

IPOやM&Aの際に、知財が必要?

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、IPOやM&Aと知財の話です。

IPO(Initial Public Offering 株式公開)や、
M&A(Mergers and Acquisitions)に知財が関係するの?
と思われる方もいることでしょう。

関係あるようです。

先日、知人の税理士にこんな話を聞きました。

「鈴木さん、結局のところ、起業は3つのゴールしかないんだよ。」

「3つですか?
 どんな3つなんですか?」

「1つ目は、IPOして、上場会社の経営者になる。
 2つ目は、M&Aで、売ったりしてのんびりリタイヤする。
 3つ目は、会社を仕組み化して、自分がいなくても平気にする。
 とまあ。こんな感じだよ。

 最初の2つを目指す人は、経理もしっかりしないとまずい。
 IPOしたり、M&Aするときには、財務指標をしっかり見る。
 無駄な経費や、赤字があるとまずいので、
 IPOやM&Aをやりやすいように決算を積み上げる必要がある。

 そうそう、鈴木さんの専門の知財もこのとき見てる。

 きちんとビジネスが守られているかも結構気になるからなぁ。

 まぁ。正直、中身は良くわからないから、知財をもっているか否か
 レベルで判断していけどね(笑)。              」

と、このようにIPOやM&Aの場面では、
知財をもっているか否かが重要なポイントのようです。

<今日のまとめ>
1.起業のゴールは3つ。
2.IPOやM&Aの場合、知財を持っていたほうが良い。

お読み頂きありがとうございました。


起業家支援プロジェクト DREAMGATE

2008年10月13日月曜日

起業前に相談を(弁理士の使い方)

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、弁理士の使い方の話です。

知人のAさんから子供連れで家に遊びに来ないかと誘われ、
子供を連れて遊びに行きました。

子供同士が遊んでいる間に、
なんとなく起業の話になってきました。

「実はねぇ。今度ネットショップを経営しようと思っているんだ。」
とAさん。

「Aさん。すごいじゃないですか。
 応援しますよ。」
と自分

「それでね。その店の名前を、子供の名前にちなんで、
 ローマ字で○○にしようと思っているんだ。」

「へぇ~。○○ですか。
(○○は、某有名メーカの名前に似ていることに気づく)
 ひょっとしたら、○○は、難しいかもしれません。」

「え~。
 なんで、鈴木さん?」

「ほら。Aさん、○○って、英語読みすると、
 某有名メーカの名前と同じですよね?」

「確かに。。。」

「あそこのメーカは、よく権利行使をしてくるという評判ですよ。
 このままだと商標権の問題を考えると、厳しいかなぁ。
 ○○に、△△をしたら、上手く切り抜けられるかも知れないけど。。。」

「なるほど。良かった。
 ロゴデザインや、宣伝をかけようと思っていたけど、
 もう少し考えてみるよ。」

とまあ、たまたま知人はロゴの注文や宣伝をする前に
自分と相談したので、起業前の貴重な資金を無駄にしないですみました。

多くの場合、商標権など知的財産権の分野の知識がないまま、
起業しているように感じています。

起業家は忙しいですし、他に考えなければならないことが多いので仕方がないかも知れません。

ただ、起業する前にちょっとだけ、時間を使って相談をしていただければ、
商標権の問題など、将来に起き得るリスクや、費用を低下させることができます。
(場合によっては、操業停止や、社名変更をしなければならないケースもあるので。。。)

できれば、起業する前に近くの弁理士に声をかけて相談することをお勧めします。

もしも近くに弁理士が見つからない場合には、日本弁理士会で無料相談を行っておりますので、ご利用してみてください。

また、私も11月からはドリームゲート経由で無料相談を受け付けておりますので、
このブログを読まれたのも何かの縁ですので、ご遠慮なくご質問ください。

<今日のまとめ>
1.起業前に弁理士に相談することで、リスクやコストを削減できる。

お読み頂きありがとうございました。


起業家支援プロジェクト DREAMGATE

2008年10月7日火曜日

特許、意匠、商標を無料でお勉強!

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、IP・eラーニングの話です。

独立行政法人「工業所有権情報・研修館」のホームページには、
以下のようにIP・eラーニングの目的が記載されています。

「IP・eラーニングは、特許庁の有する知識、経験及びノウハウにもとづき
 作成した学習教材を提供することにより、特許庁による活用のみならず、
 広く日本の知的財産関連人材においてもご利用いただくことを目指しています。」

そして、このE-learningでは、特許・意匠・商標などの制度概要や、
現在のところ、手続きなどを無料で学ぶことができます。

立ち上げ初期のベンチャーさんなどはこのサイトで
ざっと知財について勉強してもいいと思います。

IP・eラーニングのページ(「工業所有権情報・研修館」)


お読み頂きありがとうございました。


起業家支援プロジェクト DREAMGATE

2008年10月5日日曜日

特許庁のページより、商標の基本

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、特許庁のHPの話です。

10月1日より、特許庁のHPで、
商標制度の概要と地域団体商標制度の紹介用ビデオをアップしています。

商標制度の概要(約20分)

地域ブランドの守り方(地域団体商標の概要)(約20分)

商標制度の概要や、地域団体商標などの
概要をざっとつかむにはいいと思いますよ。

特許や意匠なども作ってくれるといいのになぁ。

お読み頂きありがとうございました。


起業家支援プロジェクト DREAMGATE

青森事件、日本の地名を中国で守れるか?

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、青森事件の話です。

この事件は、中国のある企業が「青森」という商標を
野菜や果物などの商品について権利を獲得しようとして、
商標権を取得できそうになったけど、、
日本からの異議申し立てによって登録が認められなかったという事件です。

仮に、この企業が「青森」という商標権を取得していたら、
青森県の人が、「青森」という商標をつけてりんごなどを
中国に輸出すると、この企業の商標権侵害になるところでした。

中国人の知人の話では、中国でも食べ物の安全意識が高まっており、
日本の食品に対するニーズは高まっているようです。

そこで、この企業は日本の地名の「青森」を「野菜や果物」の
商標権として取得し、商売につなげようと考えたのでしょう。

中国商標法では、「一般に知られた外国地名は,商標とすることができない。」
(中国商標法第10条(8))
という規定があります。

しかし、残念なことにほとんどの日本の地名は、
一般の中国人には知られていません。

日本企業などと取引をしている人や、留学経験者を除くと、
一般の中国人で知られている地名は
「北海道」「東京」「名古屋」「大阪」ぐらいだそうです。

まあ、日本人も中国の地名をほとんど知らないでしょうから
それはそれで、お互い様かも知れませんが。。。

このように一般には知られていないが、
日本人や日本関係者にとって有名な地名が、
中国で商標権を取られる可能性が高いです。

日本の商標法と同様に中国の商標法でも先願主義
(つまり、特許庁に一番最初に出した人が権利を得られるという主義)
を採用しています。

このため、大事な地名は早めに中国に出願したほうが良いと思います。

<今日のまとめ>
1.日本の食品のイメージは良い。
2.中国商標も先願主義を採用しているので、早い者勝ちである。
3.日本の地名は知られていないので、早めに権利を取ったほうが良い。

お読み頂きありがとうございました。


起業家支援プロジェクト DREAMGATE

2008年10月4日土曜日

鈴木とSUZUKIは別物?中国商標

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は中国の商標についての話です。

日本も中国も漢字を使います。
そのため、たまに外国語であることを忘れてしまう
というような失敗があります。

第一に、日本の漢字をそのまま使うと言う失敗です。

実は、日本の漢字と中国の漢字はちょっと形が違います。
例えば、日本語の「発明」は、中国語では、「发明」と書きます。

当然、中国人は、中国語の漢字(簡体字)を使うので、
権利を取得する際には、簡体字を使ったほうがいいです。

日本の漢字をそのまま使うと、違和感を感じるようです。

第二に、「音」に関しての失敗です。

例えば、日本人が「鈴木」という漢字を見ると
「スズキ」という音だと思います。

しかし、中国人が「鈴木」という漢字を見ると
「リンムー」という音だと思います。

このため、中国で「鈴木」という商標権をもっていたとしても
他人が「SUZUKI」という商標を使うことを止められません。
「リンムー」と「スズキ」とでは、音が全く違うからです。

別途、「SUZUKI」(スズキ)という商標を取得する必要があるのです。

<今日のまとめ>

1.中国では、簡体字を使って商標を取得ほうが良い。
2.中国では、形だけでなく、音(ピンイン)でも商標を取得ほうが良い。

お読み頂きありがとうございました。


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2008年10月2日木曜日

商標法は名前を守ってるんですか?

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

先日、知人に、

「特許法は発明を守り、
 商標法は名前を守っているんですか?」

と、聞かれました。

「いえいえ。
 商標法は、名前の信用を守るんですよ。」

と説明しました。

そして、さらに、

「例えば、iPodという言葉を目にしたり、
 聞いたとするよね。

 きっと。頭の中で何らかのイメージがわいたと思うんだ。

 それって、テレビCMや広告を見たり、
 君がiPodを使ったりした経験から
 ”iPod”って言う言葉に、イメージがどんどんついていくでしょ。
 そのついたイメージを守るんだよ。」
 
と続けました。

「わかったような。。。」

「うーん。
 説明が難しいなぁ。

 例えば、老舗みたいに、名前をずーっと使っていると、
 その名前に信用がつくでしょ。
 その名前についた信用を守るのが商標法なんだよ。」

「ふーん。
 で、話はかわるけど。」

まだまだ、説明する力が足りません……。

今日のまとめ

商標法は、商標についた信用を守ってくれる法律です。
お読み頂きありがとうございました。


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人のつながりに感謝

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

独立開業してから、いろいろな人々に助けられています。

最初の会社の先輩方には、
いろいろな方を紹介して頂いてます。

前の特許事務所の方には、今日も仕事を紹介して頂いたり、
仕事上で有益なアドバイスを頂いたりしています。

また、友人や家族達も様々なサポートをして、
支えてくれています。

この場を借りて感謝の言葉を送りたいと思います。
ありがとう。

いろんな人に支えられて生きているなぁと
実感した日でした。

お読み頂きありがとうございました。


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2008年10月1日水曜日

美容院と商標 その2 商標があって良かったね。

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

知人の美容師の話です。

知人は20年ぐらい前に美容院Aを開業し、
現在では、都内で数店舗経営しています。

そんなある日。

りりり~ん

「はい。ありがとうございます。ヘアアンドメイク Aでございます。」

「ああ。あんたがA、あんたの店は何よ!
 めちゃくちゃな髪型にされたわよ(怒)」

という電話がかかってきました。

「申し訳ございません。」
とりあえず、知人はひたすら謝りました。

そして、お客様の怒りが解けかけてから、
「どちらの店舗でしょうか?」
と尋ねてみました。

「横浜の店よ。よ・こ・は・ま」

「横浜???ですか。」
知人は、横浜には店舗を出していませんでした。

「ええと~。お客様。大変失礼ですが、
 うちは横浜には店を出しておりませんが。
 どのあたりにAという店があったんですか?」

そして、知人は横浜にあるAという店の位置を聞き、
商標権に基づいて、横浜にある美容院Aの店名を変更してもらいました。

それ以降、間違えられることがありませんでした。

<まとめ>

美容院の店名の商標権があると、自社と同じ名前の美容院に
名前を変えてもらうよう主張することができます。

お読み頂きありがとうございました。


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商標権って何年間有効か?

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、商標権の期間の話です。

先日、知人のOさんが、起業を考えており、
商標権の期間について聞かれました。

「鈴木さん、特許権って出願から20年間持つんですよね?
 商標は何年ですか?」

「基本、10年です。」

「鈴木さん、10年しか持たないんですか?
 特許より短いじゃないですか。 投資を回収できるかなぁ」

「いえいえ。Oさん。
 商標権は10年ごとに更新することで、
 いつまでもいつまでも使えるんですよ。

 例えば、株式会社虎屋の「夜乃梅」(羊羹 とてもおいしい!)は、
 大正11年10月14日に出願され、大正12年7月7日に登録されています。
 (商標登録第154143号

 そして、今でもその権利は生きていますよ。

 うちの祖父母も「夜乃梅」ブランドの羊羹が好きで、
 お土産に買って帰ると非常に喜びます。

 つまり、商標「夜乃梅」を長年使用した結果、
 おいしいとか、高品質であるという信用が商標「夜乃梅」についてきたんですよ。

 Oさんの商標も長期間使って、良いイメージがつくといいですね。」

<今日のまとめ>
1.商標権は基本10年間有効である。
2.商標権は基本10年ごとに更新できる。

お読み頂きありがとうございました。


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