こんにちは、
プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。
今日は、中国商標出願の話です。
当たり前の話ですが、中国人は漢字を読むことができます。
そして、我々日本人も漢字を読むことができます。
ところがですね。同じ漢字でも日本と中国とでは発音が異なります。
このため、漢字社名の会社が中国商標出願をするときに考慮すべき点があります。
例えば、「鈴木」は、
日本:「su zu ki」
中国:「ling mu」と発音され、日本と中国で発音が異なっています。
さて、この場合、どう中国商標を出願して権利化を図りますか?
漢字で取るか?それとも発音で取るか?それが問題です。
できれば、両方とも取ったほうがいいとは思います。
なぜなら、この「鈴木」株式会社が中国に進出したとして、商品に「鈴木」と「suzuki」とを付けたとしましょう。
現地ではたぶん、「ling mu」と発音されるでしょう。
すると、「鈴木」だけで、中国で商標権を取得をした場合、「suzuki」に権利が及びません。
(日本では、発音が同じなので、登録商標に似ているとして、権利行使が可能ですが。。。)
中国商標の実務では、「鈴木(ling mu)」と「suzuki」とでは、見た目、発音、意味がまったく異なるため、異なる商標として扱われます。
つまり、中国においては、商標権を「鈴木」だけしか持っていないと、「suzuki」と使っている人に対して、商標権に基づく権利行使ができないのです。
このため、漢字の社名を持つ会社は、中国で英語表記をする場合には、漢字と英語の両方で中国商標出願をお勧めします。
さらに、英語やカタカナの社名の場合には、中国における社名を深く考える必要があります。
日本と違い、中国ではアルファベットで社名の登記が認められていませんので、中国用に漢字で社名を考える必要があります。
例えば、ソニー、キャノン、カシオは、中国ではそれぞれ「索尼」、「佳能」、「卡西欧」という風になっています。
さらに、社名を作るときには、漢字に対する日本人と中国人との感覚の違いを考慮する必要があります。
例えば、「越」という漢字を見たときにどのようなことを思いますか?
中国人の知り合いに言わせれば、非常に優雅な女性的なイメージのある漢字だそうです。
このように、漢字が持つイメージが異なるので、せっかく漢字で社名をつけるならば、なるべく良いイメージとなるように、現地の知恵を借りたほうが良いと思います。
ちなみに、大陸と香港でも微妙に感覚が異なるようなので、ビジネスを行う場所に合わせてつけても良いかも知れません。
<今日のまとめ>
1.漢字社名の会社が中国商標出願をする場合には、漢字と英語の両方で権利化を狙ったほうが良い。
2.カタカナ社名の会社が中国商標出願をする場合には、中国語で社名を作る必要がある。
3.漢字の感覚は、国によって異なるので注意が必要である。
お読み頂きありがとうございました。
2008年10月25日土曜日
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