こんにちは、
プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。
今日は、発明した人、出した人、どっちが権利をとれるの(先発明主義と先願主義)という話です。
よくグローバルスタンダードに基づいて、○○しましょう。という話があります。
実際は、アメリカの方法を導入するだけ。ということも多いようです。
さて、特許など知財の世界において、アメリカの方法は他国と異なり独自の展開があるので注意が必要です。
例えば、アメリカでは、先発明主義が採用されています。
先発明主義?なんだろうと思われるかもしれません。
これは、先に発明した人が特許権を取得できるというものです。
これに対して、日本をはじめとしてほとんどの国では先願主義を採用しています。
こちらは、先に特許庁に手続きをした人が特許権を取得できるというものです。
具体例をあげると、
Bさんが、2月14日に電話を発明し、特許庁に3月7日に手続きしたとします。
Iさんが、2月20日に電話を発明し、特許庁に3月3日に手続きしたとします。
アメリカでは、先に発明したBさんが、特許権を取得できます。
(他の要件を満たしていると仮定します。)
一方、日本では、先に手続きしたIさんが、特許権を取得できます。
一見、先に発明したBさんが権利を取得できるアメリカの制度の方が良い方に思えるかもしれません。
しかし、アメリカのように先発明主義の国では、似たような発明があった場合、どちらが先に発明したかどうか証明しなければなりません。
発明の完成って、どうやって証明すればいいと思いますか?
お風呂で思いついた瞬間でしょうか?理論を解明した時でしょうか?実験に成功した時でしょうか?
これは、特定するのが難しく、結構大変な作業です。
この証明のためか、アメリカの研究ノートは厳格につけられているそうです。
これに対して、日本など多くの国では先に手続きをした方が特許権を取得できますし、特許庁に手続きの記録がありますので、どちらが先に手続きしたのか簡単にわかります。
このため、アメリカの大企業や、多くの国の人たちがアメリカに先願主義になって欲しいと願っています。
それで、アメリカでも先願主義に変更しようとする動きがあって、この間も議会に法案が提出されてたのですが、つぶれてしまいました。
私は日本が採用している先願主義のほうが好きですので、知財でもグローバルスタンダードに基づいて、○○しましょうというなら、アメリカの先発明主義が変わってくれればいいなぁと思っています。
<今日のまとめ>
1.日本は先に特許庁に提出したほうが権利を取得できる先願主義を採用している。
2.アメリカは先に発明したほうが権利を取得できる先発明主義を採用している。
お読み頂きありがとうございました。
2008年11月26日水曜日
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