2012年2月19日日曜日

クレヨンしんちゃんが、中国商標権ではなく、著作権侵害で損害賠償請求した理由

こんにちは、 あとで読む

プロシード国際特許商標事務所弁理士の鈴木康介です。

今日は、クレヨンしんちゃんが、中国商標権ではなく、著作権侵害で損害賠償請求した理由の話です。

一般的に、中国でブランド模倣対策では、商標権を使うケースが多いです。しかし、今回、双葉社は版権(中国の著作権)侵害で損害賠償請求を行いました。

なぜ双葉社は、著作権侵害で損害賠償請求したのでしょうか?

クレヨンしんちゃんの中国商標権は別の会社が持っており、双葉社は商標権を持っていません。

このため、双葉社は商標権による権利行使をしたくてもできないのです。

以前、クレヨンしんちゃんの商標権が勝手に中国企業に登録されてしまいました。

双葉社は、その状態を長期間放置したため、いざその商標権を取り消そうと思っても、取り消せなかったのです。

一見ひどいように見えるかもしれません。しかし、商標権はそもそもマークについた信用を守る権利です。

このため、長期間使用したことによって信用がついた商標権を取り消すことは困難です。
(日本でも、一定期間経過すると、一部の無効理由では無効審判ができなくなります。)

第三者に取られてしまったら早めに取り消す手続きを行うことが必要です。

さらに、中国で事業を行っていない場合は、中国商標を取り消すことは困難なので、早めに中国商標を取得することが重要です。


クレヨンしんちゃん訴訟、中国企業に100万元の賠償請求 RecordChina


お読み頂きありがとうございました。
ご指摘やコメントを頂ければ幸いです。
あとで読む
応援のクリック よろしくお願いします。
にほんブログ村 経済ブログ アジア経済へ
中国商標は、プロシード国際特許商標事務所

2012年2月17日金曜日

中国特許のマルチクレーム

こんにちは、 あとで読む

プロシード国際特許商標事務所弁理士の鈴木康介です。

今日は、中国特許のマルチクレームの話です。


いつもお世話になっている同業者の友人から質問が来たので、知識の共有のため書きます。
このため、今日は少しマニアックな内容です。

中国特許出願の実務で、「出願時点では、意図的に少なくとも一つは「マルチ×マルチ」を残しておいた方がよい。一発特許査定を防止して、特許査定となりそうなクレームが明確になったときに語訳がないことを確認するため(逆翻訳的な効果を狙う)。」という話を聞いたらしく、以下の質問を受けました。

質問1.
 中国特許実務では、「マルチ×マルチ」“だけ”の拒絶理由(新規性等の特許性の判断なし)がくるケースが多いため、拒絶理由対応が1回増えることになる。  出願時点から「マルチ×マルチ」を解消しておいて、「マルチ×マルチ」の拒絶理由を回避した方がいいのではないか?

回答1.
 現行中国専利法実施細則第22条第2項によれば、「2つ以上のクレームを引用する多項従属クレーム(multiple dependence of claim)は、他の多項従属クレームの基礎としてはならない」と規定されています。

 中国専利局は「マルチのマルチクレーム」の書き方を認めていないため、修正する必要があると認められることが一般的です。

 意図的に請求項の範囲に少なくとも一つの「マルチのマルチクレーム」を残しておく方法を通じて、誤訳がある場合、そのタイミングで解消できるかも知れませんが、拒絶理由への応答手続きも1回増えます(このため、コストがかかります)。

 ただ、この方法にリスクもあります。理由は、2010年2月1日から施行された新規「審査指南」(審査ガイドライン)では、中間処理の段階において、出願人が明細書の記載に基づいても、自発的に出願時の請求の範囲に記載のない従属項を新たに追加してはならない、と規定されているためです。

質問2.
 語訳がないことを具体的にどうやって確認するのかよくわからない?
 審査段階で逆翻訳するのか?それとも、単なる時間稼ぎか?

回答2.
 時間稼ぎの可能性が高いです。

 誤訳を防ぐには、以下の方法が有効です
 1.ダブルチェックを行う。
 2.実力のある事務所や代理人に依頼する
 3.中国代理人に参照させ、誤訳を回避するため、日本語の明細書と共に、英語の明細書(又は、誤訳しやすいところの英語版)も提供する。

お読み頂きありがとうございました。
ご指摘やコメントを頂ければ幸いです。
あとで読む

応援のクリック よろしくお願いします。

にほんブログ村 経済ブログ アジア経済へ

中国商標は、プロシード国際特許商標事務所

2012年2月2日木曜日

中国インターネット人口の増加と著作権法の改正

こんにちは、 あとで読む

プロシード国際特許商標事務所弁理士の鈴木康介です。

今日は、中国インターネット人口の増加と著作権法の改正の話です。

中国インターネット人口が増加し、約5億人に達したと言われています。
それに伴って、インターネット上での知的財産侵害が増加しています。

さらに、土豆とYoukuとの版権(著作権)争いが始まるなど、一部の中国国内企業の知財意識も高まってきています。

このため、新しい環境に合わせた著作権の改正が必要とされ、昨年の7月から議論が始まり、1月に専門家の提案がまとまったそうです。

今後、国務院での議論を経て、どのように変化していくか、動向に注目が必要ですね。

「著作権法」改正に新しい進展 専門家提案稿が完成(JETRO 北京)

お読み頂きありがとうございました。
ご指摘やコメントを頂ければ幸いです。


応援のクリック よろしくお願いします。
にほんブログ村 経済ブログ アジア経済へ
中国商標は、プロシード国際特許商標事務所