2009年1月30日金曜日

海外の特許を迅速に導入する方法

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、海外の特許を迅速に導入する方法の話です。

特許権の付与は国ごとに行われています。
このため、海外で権利を取る場合には、その国ごとに特許権を与えていいか否かの審査が行われています。

ところが、近年出願件数が増大して、日本の特許庁もアメリカの特許商標庁の審査官の処理能力の限界に近づいてきました。

そして、審査官の処理能力のほぼ限界となったため、特許権が付与されるまで時間がかかるようになってきました。

発明によっては、同じ内容の発明を日本とアメリカとなど各国に出願している場合もあります。

もしも、同じ内容の発明を複数の国に申請している場合、他国の審査結果を使うことができれば、審査官の負担を減らすとともに、迅速な特許権の付与を実現することができます。

そこで、特許ハイウェイ構想というものが出てきました。

この制度が使える国は、アメリカ、イギリス、ドイツ、韓国、デンマークなど一部の国だけではありますが、利用すると海外の特許権が付与された発明を、日本で迅速に権利化したり、逆に日本で特許権を付与された発明を海外で迅速に権利化することができます。

例えば、アメリカで特許になったものと同一の発明が日本で審査されている場合、この制度を活用することによって、2か月ほどで特許権が付与されたこともあります。

使い方としては、海外で急成長しているベンチャービジネスを日本に導入する際に、特許権による保護が迅速に欲しい場合や、逆に、日本から海外進出をするときなどに使えるのではないかと思います。

お読み頂きありがとうございました。

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2009年1月28日水曜日

赤バイオ・緑バイオ・白バイオ

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、赤バイオ・緑バイオ・白バイオの話です。

バイオといっても、S社のvaioの話ではありません。

赤バイオ・緑バイオ・白バイオは、バイオテクノロジーの分類です。

赤バイオ(Red biotechnology)は、医療系に使われるバイオテクノロジーです。
例えば、抗体の作成や、遺伝子操作による遺伝病の治療などが挙げられます。

緑バイオ(Green biotechnology)は、環境系のバイオテクノロジーです。

白バイオ(White biotechnology)は、工業バイオテクノロジーです。

実は、昨日North of England社と、株式会社IBLCのホワイトバイオセミナーに行ってまいりました。

英国では、国策としてホワイトバイオに力を入れています。

そして、North of Englandには、多くの研究機関や、企業が集積しているようです。

また、ホワイトバイオ関係の特許出願も上昇しているようです。

ホワイトバイオによって作られたポリマーなどの品質は、化学合成によるポリマーと比べて劣っているため、日本では売れないという意見もあります。

しかし、欧州の消費者は、環境保護の視点から、ホワイトバイオによって作られた製品選んで買うことも多いようです。

また、最近、日本では、学校などで環境教育が始まっています。

例えば、女子高生が、某環境系のイベントのブースで、バイオポリマーを見て、

「いーじゃん、かわなきゃやばいよね。これ」という発言をしていたとも聞いております。

彼女たちが購買力を持つようになると日本も変わるかも知れませんね。

もともと日本の発酵技術は歴史もあるため、ホワイトバイオの技術でも日本が世界をリードできるのではないかと期待しております。

お読み頂きありがとうございました。

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2009年1月27日火曜日

昨日の話の続き

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、昨日の話の続きです。

似たような商標が登録されているときには、ゴールドをつけても絶対に登録できないのでしょうか、ちょっと調べてみました。

調べた結果ですが、ほとんどのケースでは、やはり登録できません。しかし、いくつか登録できたケースがありました。

例えば、「サンゴールド」という商標を出願したところ、「サン」という商標で一度登録を拒絶されていましたが、審判で争ったところ、最終的には登録を認められたという事例がありました。

以前、商標実務を教えてくれた先輩達には、どのような商標であっても、登録できる論理と、登録できない論理とを作れなければだめだと言われました。

まだまだその域まで達していませんが、精進を重ねていきたいと思っています。

お読み頂きありがとうございました。

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金があってもダメ

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、金(ゴールド)があってもダメという話です。

商標を登録しようと考えた時に、先に似たような商標(類似商標)が登録されていると登録できません

例えば、飲料品の分野で、「マリン」という商標が登録されていると、「MARIN」という商標を登録するのはほぼ無理でしょう。

それでは、高級品ぽく、「マリン」に「ゴールド」をつけたらどうなるでしょうか?

「マリン」と、「ゴールド マリン」では、音も見た目も異なっているように思えませんか。

どう思います?

この場合、「マリン」に「ゴールド」の文字が、商品の品質が高級又は優秀であること等を表示するものだから、「マリン」と、「ゴールド マリン」は似ていると判断されてしまいます。

このように、類似商標が登録されている場合に、ゴールドをつけても登録できません。

また、類似商標が登録されている場合に、レッドや、グリーンなどをつけても登録できません。

類似商標が登録されると、ゴールドなどを付加してもなかなか商標権を取得できないので、
類似商標が登録される前に、商標を取ってくださいね。

・・・

というのが、教科書によく出てくる話です。

では、ゴールドをつけても絶対にだめなのでしょうか?

疑問に思ったので、ちょっと調べてみました。

その結果は、明日のブログに書きます。

お読み頂きありがとうございました。

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2009年1月21日水曜日

ブログ再開(ブログ休止中にあったひどい商標出願の話)

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日からブログを再開します。

ブログ休止中に、あるお客様から商標について相談がありました。

お客様は、ある商標サイトから商標登録出願の申請を3件依頼したようです。

しかし、中身を見てみると、

A)商標Aと、商品イ・ロ

B)商標Bと、商品イ

C)商標Bと、商品ロ

となっており、B)とC)を分けて出願する意味がよくわかりませんでした。

なぜなら、現在、日本では、一商標で複数区分(簡単にいえば、複数の商品群や、サービス群)の申請が認められています。

このため、B)とC)とは、一つの出願書類として申請できますし、一つの書類にしたほうが、特許庁への手数料も、その事務所の手数料も安くなります。

さらに、お客様の欲しい商品を登録できていないのに、成功報酬を請求していました。
(例えば、セミナーの企画が欲しいのに、おもちゃの貸与を取るような感じです。)

他山の石として、自分はそのような仕事をしないようにしたいとつくづく思いました。

お読み頂きありがとうございました。

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2009年1月13日火曜日

ブログの更新頻度が24日まで下がります。

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

妻が2週間ほど海外出張に行き、4歳の息子と、2歳の娘の寝かしつけetc...のため、
24日までブログの更新頻度が下がります。

家庭の事情で申し訳ございません。。。

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2009年1月9日金曜日

怪しいシャネル

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、怪しいシャネルの話です。

皆さんは、昔、神奈川県横須賀市にあったシャネルってご存知ですか。

フランスのシャネルではありません。スナックのシャネルのことです。

ある人が、横須賀市でスナック シャネルを営業していました。

シャネルが経営しているスナックと思う人はいないと思いますが、シャネルのイメージを損ないますよね。

そこで、シャネル社が不正競争防止法を用いて、裁判を起こしました(平成 19年 (ワ) 33797号 不正競争行為差止等請求事件)。

このように、シャネルのような他人の著名な商品等表示を用いて、営業をすると、不正競争防止法に引っ掛かりますので、国内外の有名ブランドの名前で、営業する行為はやめた方がいいです。

つまり、仮に、シャネル等の有名ブランドが、焼き芋などの商品で登録されていない場合に、シャネルを焼き芋に使うと不正競争防止法に引っ掛かる可能性があります。

このため、著名なブランド名を使う場合には、ご注意ください。

お読み頂きありがとうございました。

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2009年1月6日火曜日

海外化粧品を輸入するときに知財で気を付ける4つの視点

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、海外化粧品を輸入するときに知財で気を付ける3つの視点の話です。

視点1.成分が特許権で守られているか?

 機能性の化粧品の場合、販売して成分が他メーカーに知られると、同じ成分で商品を開発される可能性があります。
 (特許権で守っていなければ、文句も言えないし、良くも悪くも日本の技術はすごいですので。。。)

 母国で特許申請をして、1年以内ならば、日本でも権利を取れる可能性があるので、日本で特許権の申請をした方がいいかと思います。
 (専門家には、パリ条約による優先権制度を利用したいといえば、通じます。)

視点2.ブランド名は商標権で守られているか?

 海外で著名なブランドですと、守られる可能性があるのですが、商標権がないと、偽ブランドや、似たような名前のブランドが出てくる可能性があります。

視点3.パッケージが意匠権で守られているか?

 化粧品はパッケージ買いが多いと聞いております。
 (自分で選んで買った経験がほとんどないので。。。)

 似たようなパッケージで商品を出されると、売上が下がる可能性があります。
 
 不正競争防止法を使うなどといった手もありますが、紛争防止のために、意匠権を取っておいた方がいいと思います。

視点4.想定売上はいくらぐらいか?

 特許権など知財で保護するには、コストがかかります。

 ある程度の販売量や利幅が見込めないと、知的財産法による保護は強固だけれども、コストが高くなりビジネスは失敗してしまう可能性があります。

 ある程度の売上が上がるかや、ビジネスプランに応じて、どこの保護を強めるかが重要になってきます。
 
お読み頂きありがとうございました。

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2009年1月5日月曜日

本日の日本経済新聞の一面

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、日本経済新聞の記事の話です。


携帯電話ソフトウェアの特許出願が知財キャリアのスタートだったので、ちょっと日経新聞の記事に意見を言いたくなってしまいました。

本日(1月5日)の日経新聞に

「特許、ソフトも保護対象に 大幅な法改正、特許庁検討」

という見出しが記載されていました。

さらに、

「「モノ」が対象だった特許の保護対象にソフトウエアなどの無形資産を追加。」

という記載もありました。

ところがですね。

この記事は、多少誤解を生じ得る記載だと思います。

特許法第2条第1項には、

「この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。」

とあります。

つまり、特許法の保護対象は、「モノ」ではなくて、産業上利用することができる発明(特許法第29条第1項柱書き)ですし、
「方法」や「製造方法」も特許法の保護対象になります(特許法第2条第3項第2号、同3号)。

このように、特許法の保護対象は、もともと「モノ」ではなく、発明(無形資産)ですので、無形資産を追加という表現はいかがなものかと。。。

さらに、特許法第2条第3項第1号には、

「物(プログラム等を含む。以下同じ。)の発明にあつては、その物の生産、使用、譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい、その物がプログラム等である場合には、電気通信回線を通じた提供を含む。以下同じ。)、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む。以下同じ。)をする行為」

とあり、現状の特許法では、「物」の定義にプログラムが含まれています。

もちろん、昔は、プログラムは「物」の定義に含まれておりませんでした。

しかし、平成14年改正でプログラムが「物」に含まれることになりました。

一方、例えば、コンビニや宅急便などの新しいビジネスの方法など多様なアイデアを保護するため、「自然法則を利用」という要件を無くしたらどうかという議論があると聞いています。

現状の発明の定義では、「自然法則を利用」とあるため、日本では、ビジネスの方法、ゲームのルール、ゴルフの打ち方などが特許になることはありません(米国では特許になり得ます)。

たぶん、記者さんもそれを念頭に記事を書こうとして筆が滑ったんじゃないでしょうか。

お読み頂きありがとうございました。

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2009年1月4日日曜日

これが日本初の特許です。

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、日本初の特許の話です。

日本で初めて特許を取得した方は、堀田瑞松さんという方です。

堀田さんは、兵庫県出身で、もともとは刀鞘塗師で、書道や彫刻などの造詣も深かったそうです。

腕が良かったため、宮内庁から多くの仕事を拝命するなど、政府高官とも親交があったようです。

政府高官などから船底の錆の問題を聞いたのでしょう、彼は、船底の防錆塗装の研究を重ね、1885年(明治18年)7月1日に専売特許所(今の特許庁)へ出願し、同年8月14日付で特許権を取得しました。

もともと漆に関する知見を持っていたので、それを船底の錆問題を解決するために応用したそうです。

これを記念して、8月14日は専売特許の日となっています。

他分野の知識を使って問題を解決したというのもすごいと思いますが、最初の特許権者が芸術家っていうのも素敵ですね。

なお、彼の発明については、日本化工塗料株式会社のページに詳しく書いてあります。

お読み頂きありがとうございました。

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2009年1月1日木曜日

新年明けましておめでとうございます。

新年明けましておめでとうございます。

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今年は丑年です。

そこで、牛関係の特許権を紹介します。

「牛の鼻輪」(特許第4166732号)です。


<鼻輪を付けている牛さん>


<本発明の鼻輪>


今までの鼻輪は、牛に取り付けるときに、鼻の組織を傷めるという問題や、牛が草を食べるときに地面について壊れやすいという問題があったそうです。

この鼻輪の特許権は、そのような問題を解決するために、様々な工夫がされています。

このように、牛用の鼻輪という昔からある商品でも、現在でも改良が続けられ、特許権を取得しています。

また、本日の日経に、和菓子用の機械メーカが200あまりの特許権で技術を守っているという話も掲載されていました。

そのメーカさんは、必要な場合には、業界慣行に反しても、特許権による権利行使をすると言われているそうです。

経済環境が変化しており、徐々に知財紛争が増えてくる気配があるので、今年は、多くのお客様の知財武装のお手伝いをしていきたいと思っております。

お読み頂きありがとうございました。

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