2008年11月28日金曜日

欧州共同体意匠制度の枠組



こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、欧州の意匠制度の話です。

本日、弁理士会の研修で欧州の意匠制度のセミナーを聞いてきました。

そのノート代わりのものです。

かなりマニアックな話題ですし、長文ですので、気が長い方以外はお読みにならない方がいいかもしれません。

また、もしも考え違いなどしていましたら、ご教示いただけるとありがたいです。

[欧州共同体意匠(community design)制度の枠組]

1.欧州共同体意匠制度の概論

 意匠規則(CDR:community design regulation)が本法である。

 加盟国は、以下の27国(2008年11月現在)
 オーストリア、ベルギー、キプロス、チェコ、デンマーク、エストニア、ドイツ、ギリシャ、フィンランド、フランス、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、ポーランド、ポルトガル、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、オランダ、イギリス、ブルガリア、ルーマニア

 つまり、この制度を利用すると上記の27国で使える権利を持つことになる。

 非加盟国は、以下の4国
 スイス、ノルウェー、アイスランド、トルコ

 つまり、この制度を利用しても、スイスや、トルコ(旅行したいなぁ)では保護できない

2.欧州共同意匠制度では、UCD(Unregistered Community Design)とRCD(Registered Community Design)との2種類の保護制度がある

○UCD(Unregistered Community Design)
 登録不要の意匠権で著作権みたいなものです。

A.加盟国にデザインを最初に市場投入することによって無方式で権利発生
  (日本で最初に公開するとたぶんダメ)
B.共同体域内で公衆に利用可能になった日から3年
C.相対的権利

 日本の著作権のように、自然発生するようです。

 欧州共同域内で、公衆に初めて利用可能になってから3年間は保護されるようです。
(Cf.日本国内の不正競争防止法第2条第1項第3号)

 ただし、日本で最初に利用可能になった場合、保護されるかどうかはわかりません。
 保護できる、保護できないという議論がありますが、裁判例がないので本当のところはわかりません。

○RCD(Registered Community Design)
 無審査で登録される意匠権です。

A.出願及び登録が必要
B.出願日より5年、更新可能最長25年
C.絶対的権利

 登録によって権利が発生します。
 米国のように、1年間のグレースピリオドがありますので、日本で販売してから1年以内であれば、権利を取ることができます。
 また、当初UCDで、1年以内に商品の売れ行きに応じてRCDに切り替えるという運用もされているようです。

○RCDのメリット

 1.無審査主義(中国と同じで方式があっていれば登録される)
 2.費用が安い(あとで金額を書きます)
 3.27国に対して1つの出願で済むので、手続きが楽
 4.意匠の概念が広いため、後述するように、商標出願の代わりにもなり得る。
 5.一定の条件下で並行輸入を差止可能出来るらしい。
 6.ある国の判決を他の国の判決に使用可能である
 7.物品に依存しないことも可能(ロゴ)
 8.侵害時は、物品を無視 CDR36(6)

○RCDのデメリット
 1.無効にされるとその効果が27カ国に及ぶ
   (つまり、27カ国で一つの権利だから。。。)

○RCDの出願受理状況
 2006年 約6.9万件
 2007年 約7.7万件

○RCDの登録公告状況
 2006年 約7.0万件
 2007年 約7.4万件

○RCDで登録までかかる期間
 2007年では、5週間程度、約3ヶ月で公報発行

○RCD代理件数ランキング
 一位.ドイツ
 二位.イギリス←それで、前回の商標弁理士協会(ITMA)のセミナーで欧州共同体意匠
 三位.イタリア
 四位.フランス


○保護対象(特許庁の仮訳を引用) 
A.意匠の定義:「意匠」とは,製品の全体又は一部の外観であって,その製品自体及び/又はそれに係る装飾の特徴,特に線,輪郭,色彩,形状,織り方及び/又は素材の特徴から生じるものをいう。
 (CDR3a)
B.製品の定義:「製品」とは,工業又は手工芸による物品をいい,その中には,特に複合製品に組み立てることを目的とする部品,包装,外装,図示記号,印刷用活字書体等を含むが,コンピュータ・プログラムは含まない。
 (CDR3b)
C.複合製品の定義:「複合製品」とは,交換することができ,分解及び再組立を可能にする複数の構成部品によって構成されている製品をいう。
 (CDR3c)

○保護される意匠の具体例
A.全体意匠
B.部分意匠
C.装飾
D.ロゴ ← 重要 日本とは異なり、商標的な保護もできるようになる。
E.グラフィックシンボル ← 重要 日本とは異なる
F.アイコン ← 重要 日本とは異なる
G.キャラクタ ← 重要 日本とは異なる
H.彫刻
I.タイプフェイス ← 重要 日本とは異なる

3.出願手続き

○手数料
 一意匠一出願
  EUR 350(登録料230 公告料120)

 多意匠一出願(一度に99意匠まで平気なようです)
  2~10 (登録料115 + 公告料60)
  11~  (登録料 50 + 公告料30)

 公告繰延料(日本の秘密意匠のようなもの)
  1意匠  EUR40
  2~10 EUR20
  11~  EUR10

 更新料
  1回目 EUR 90
  2回目 EUR120
  3回目 EUR150
  4回目 EUR180

日本の秘密意匠のように、登録されても秘密にしたい場合には、まず、登録料+公告繰延で支払い、3年以内に公告料を支払うことで、公告されます。
原則は、3年間秘密にされます。

○図面または写真
 1~7図面(写真)

 日本とは異なり、A-A線などは、ダメ、100words以内のDescriptionで説明するようです。例えば、B図は、A図の下面図である。など

 ロゴ(Logos)で出願することによって、物品拘束がないグラフィックシンボルの出願が可能です。

○願書の必須記載事項(CDR36)
 (a) 登録願書
 (b) 出願人を確認する情報
 (c) 意匠の表示であって,複製に適したもの

(2)出願書類には,その意匠を組み込む予定であるか又は適用する予定である製品の表示を含めなければならない。

 また、以下のものを出願書類に含めても良いようです。
 (a) 表示又は見本を説明する説明書
 (b) 第50条による,登録公告の延期を求める請求書
 (c) 出願人が代理人を選任している場合は,代理人を確認する情報
 (d) 意匠を組み込む予定又は適用する予定の製品に関するクラス別分類
 (e) 意匠創作者若しくは意匠創作者集団に係る名称表示,又は出願人

 出願時、登録時に、Class、Descriptionは関係ないようです。
 例、自動車で出願、おもちゃに権利行使可能なようです。
 また、Description は公開されないとのことです。

○優先権
 出願日から1月以内CDIR8(1)
 出願日から3月以内CDIR(1)
 最初の開示から6月以内(CDR44)

○無効審判
 ルート1(無効を求める) OHIMの無効審判部 第一裁判所 欧州裁判所
 ルート2 (侵害訴訟の反訴) 欧州意匠裁判所

○侵害訴訟
 裁判管轄CDR81条 CDR82条
 上訴(CDR92条)
 有効性の推定(CDR85(1) CDR85(2))

○登録要件(無効審判)について
 A.新規性 CDR5(1)(b) CDR(2)
 B.独自性 CDR6
 C.技術的機能によって定められた意匠、連結の意匠に該当しないこと
 D.第三者の商標など知的財産と抵触しないこと
 E.意匠保護の除外(見えないものは保護しない)

 審査官は上記の条件を審査しないので、無効審判の際に判断される。

 OHIM Invalidity division 3~5名
    ↓
 OHIM Board of appeal
    ↓
 Court of First Instance
    ↓
 European Court of Justice

 登録対無効宣言0.16%
 うち無効が認容60%

 当事者主義の原則 CDR63

 独自性(individual character CDR6)の判定は、以下のように行われるらしい。
 A.Informed userの感覚による(not professional, not ordinary person. They have design awareness.)
 B.全体印象、支配的な特徴で判断する。
 C.独自性の判断はデザイナーの創作の自由度を考慮する。
   -機能性に依存している。
   -似たものが多くある。

○第5条及び第6条の適用上、無効理由になる意匠(CDR7)
1.出願前に公衆の利用に供された意匠
2.EU域内で事業を営む当業者にとって、ビジネスの通常の過程で、合理的に知り得た意匠(例、アメリカや、中国の意匠公報)

 また、無効審判の請求人適格は、無効理由によって異なります。

 将来的には、この内容を整理して、図解したいなぁと思っています。

4.参考リンク

特許庁の外国産業財産権制度情報のページのリンク
(各国の法令の仮訳が掲載されています)

OHIM(Office of Harmonization for the Internal Market)のページより
Community Design Regulations
Registered Community Designの検索ページ

お読み頂き本当にありがとうございました。





そのビジネスプランを発表する前に気をつけること


こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、ビジネスプランを発表する前に気をつけることの話です。

現在、私がアドバイザーを務めているドリームゲートでビジネスプランコンテストの告知が始まりました。

以下、その概要です。

【主催】
 ドリームゲート

【テーマ】
 フリーテーマ(どのようなテーマのビジネスプランでもかまいません。)

【特典】

 1.マッチング
  ファイナリスト(7名)は、100名のオーナー経営者、起業家の前でプレゼンテーションができます。
  著名なメンター経営者、有識者、投資家とマッチングのチャンスがあります。
 2.PR
  ファイナリスト(7名)は、ドリームゲートWEBサイト内専用ページにて
  継続的に広報しPRを支援します。(月間350万PV)
 3.賞金
  ドリームゲート大賞(1名)に選ばれた方には、
  スタートアップ資金として賞金100万円を授与します。
【選考フロー】
 ●応募締め切り : 2009年2月8日(日)

 ●1次選考(書類選考): 2009年2月9日(月)~ 2月13日(金)
 ※1次選考を通過した方は、ドリームゲート本部から直接ご連絡いたします。

 ●2次選考(プレゼンテーション選考):
 【大阪】 2009年2月21日(土)14時~ 会場 : 未定
 【東京】 2009年2月22日(日)14時~ 会場 : ドリームゲート本部
 ※1次選考を通過した約20名(東京・大阪:各10名前後)が、
 ドリームゲート代表・松谷を含む3名の選考委員の前でプレゼンテーションを行います。

 ●最終選考(グランプリファイナル):
 【東京】 2009年3月11日(水)16時~ 会場 : ANAインターコンチネンタルホテル東京(溜池)
 ※2次選考の成績上位7名がファイナリストとして、最終プレゼンテーションを行います。
 7名の審査委員、100名のオーナー経営者の投票によりドリームゲート大賞を決定します。

【募集ページ】
http://www.dreamgate.gr.jp/gp/gp09/


本題!

このようなビジネスプランコンテストで発表した後に、特許権など取れますか?という質問を受けました。

基本的にビジネスプランコンテストで発表すると特許権はとれません。

特許権は、一般に知られていない発明にしか与えられないからです。

このため、技術系の起業を考えている方は、大変だと思いますが、ビジネスプランコンテストの準備と並行して、特許権の取得の準備をされたほうがいいですよ。

知財関係で、お手伝いする必要あれば、私もドリームゲートで無料相談も受け付けているので、お気軽にご相談ください。、

また、守秘義務がない人に知られちゃうとだめなので、ベンチャーキャピタルの人や、起業支援のコンサルタントと話すときも一応、守秘義務を確認してみてください。

ちなみに、弁理士は、弁理士法に守秘義務規定があり、これを破ると罰金や、禁固刑となるので、安心してご相談ください。

もっとも、ほとんどの弁理士は、罰則が仮になくてもプロとして、守秘義務は守ると思いますけどね。

<今日のまとめ>
1.ビジネスプランを発表すると基本的にその内容で特許権が取れなくなる。

お読み頂きありがとうございました。

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2008年11月27日木曜日

山梨勝沼(中国の商標問題)

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、「山梨勝沼」の話です。

また、中国で、上海の個人によって「山梨勝沼」という日本の地名商標が出願されているという報道がありました。

それで、横内正明山梨県知事が、今年度中に監視体制の強化を進める考えを明らかにしたそうです。

たぶん、この商標が中国で登録された後に、取消を求めることとなると思います。

ただ、この手続きは平均して3年から4年かかってしまうので、登録後から取り消されるまで「山梨勝沼」というブランド名を山梨県が中国で使いにくくなるでしょう(下手をすると商標権侵害となるので。。。)。

一応、中国の商標法では、「一般に知られた外国地名は,商標とすることができない。」(中国商標法第10条 特許庁のwebsiteより転記)という規定があります。

しかし、中国の出願件数は約60万件あり、一人当たりの審査官の処理件数は、かなりのものですし、審査官の全てが日本の地名に詳しいとは限りません。

このため、日本の地名は今後も登録され続ける可能性がきわめて高いと思います。

それでは、どうすればいいでしょうか?

対策方法としては、以下の2つがあると思います。

1.中国での商標出願を常に監視し、登録されたら取消を求める。
2.中国で先に権利を取る。

1は、一見費用がかからないように見えますが、一回登録されてしまうと、時間と費用がかかります。

2は、最初に費用はかかりますが、登録後は安心していられますし、費用もトータルでは安くなります。

私が相談を受けたなら、2をお勧めします。

また、一部の地方自治体では、積極的に中国に商標を出願する予定であるとの話を聞いています。

なお、JETROのwebsiteにも中国における地名商標の登録問題に対する記事があるので、もしも巻き込まれた場合には、参考にされるといいかも知れません。

お読み頂きありがとうございました。

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2008年11月26日水曜日

発明した人、出した人、どっちが権利をとれるの(先発明主義と先願主義)

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、発明した人、出した人、どっちが権利をとれるの(先発明主義と先願主義)という話です。

よくグローバルスタンダードに基づいて、○○しましょう。という話があります。

実際は、アメリカの方法を導入するだけ。ということも多いようです。

さて、特許など知財の世界において、アメリカの方法は他国と異なり独自の展開があるので注意が必要です。

例えば、アメリカでは、先発明主義が採用されています。

先発明主義?なんだろうと思われるかもしれません。

これは、先に発明した人が特許権を取得できるというものです。

これに対して、日本をはじめとしてほとんどの国では先願主義を採用しています。

こちらは、先に特許庁に手続きをした人が特許権を取得できるというものです。

具体例をあげると、

Bさんが、2月14日に電話を発明し、特許庁に3月7日に手続きしたとします。

Iさんが、2月20日に電話を発明し、特許庁に3月3日に手続きしたとします。

アメリカでは、先に発明したBさんが、特許権を取得できます。
(他の要件を満たしていると仮定します。)

一方、日本では、先に手続きしたIさんが、特許権を取得できます。

一見、先に発明したBさんが権利を取得できるアメリカの制度の方が良い方に思えるかもしれません。

しかし、アメリカのように先発明主義の国では、似たような発明があった場合、どちらが先に発明したかどうか証明しなければなりません。

発明の完成って、どうやって証明すればいいと思いますか?

お風呂で思いついた瞬間でしょうか?理論を解明した時でしょうか?実験に成功した時でしょうか?

これは、特定するのが難しく、結構大変な作業です。

この証明のためか、アメリカの研究ノートは厳格につけられているそうです。

これに対して、日本など多くの国では先に手続きをした方が特許権を取得できますし、特許庁に手続きの記録がありますので、どちらが先に手続きしたのか簡単にわかります。

このため、アメリカの大企業や、多くの国の人たちがアメリカに先願主義になって欲しいと願っています。

それで、アメリカでも先願主義に変更しようとする動きがあって、この間も議会に法案が提出されてたのですが、つぶれてしまいました。

私は日本が採用している先願主義のほうが好きですので、知財でもグローバルスタンダードに基づいて、○○しましょうというなら、アメリカの先発明主義が変わってくれればいいなぁと思っています。

<今日のまとめ>
1.日本は先に特許庁に提出したほうが権利を取得できる先願主義を採用している。
2.アメリカは先に発明したほうが権利を取得できる先発明主義を採用している。

お読み頂きありがとうございました。

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2008年11月25日火曜日

オープンイノベーション

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、オープンイノベーションの話です。

ヘンリー・チェスブロー教授が唱えているオープンイノベーションという概念はご存知でしょうか?

弁理士会の価値評価推進センター運営委員会の特別部では、よく話題となっている概念です。

正確さを失うかもしれませんが、簡単にいえば、この概念は、「自社だけでなく他社の知財も利用しちゃえ!」というものです。

有名な例として、P&Gのプリングルズの事例などが挙げられます(P&G:コネクトアンド・ディベロップ戦略 ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー2006年8月号 参照)。

プリングルズの表面に絵を描くために、自社だけでなく、世界各地の技術を探し、イタリアの技術を導入し、半年で商品を導入できたという事例です。

また、オープンイノベーションの支援会社としては、ナインシグマ社やオーシャントモ社などが知られています。

これらの会社は、知的財産権の仲介を行っています。

両社とも、一歩間違えるとパテントロールを作り出さないかなぁという怖さもありますが、埋もれている知的財産権を掘り起こし、社会に役立てるという観点からは素晴らしい事業をしていると思います。

さて、このオープンイノベーションという概念を作り出したヘンリー・チェスブロー教授さんの新刊がこのたび翻訳されました。

オープンイノベーション 組織を越えたネットワークが成長を加速する

明日(11月25日)に発売です。

お読み頂きありがとうございました。

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2008年11月23日日曜日

自転車で天井を逆さに走る少年!

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、自転車で天井を逆さに走る少年(次世代育成)の話です。

米国では、次の世代の発明者を育てるために、米国特許商標庁と発明者殿堂(NIHFF)と全米公共広告機構(Ad Council)と共に、公共キャンペーンをやっています。

↓これは、自転車で天井を逆さに走る少年が出てくる公共キャンペーンのCMです。
 (USPTOで配布しているコードを張りました)



全米公共広告機構の他のCMはこちら

日本の弁理士会や、発明協会も、弁理士の日や、発明の日など、子供向けにイベントをやっていますが、ここまででは。。。

日本の資源は人だと思いますので、特許庁さんや日本広告機構さんが手を組んで、次世代の発明家や起業家を育てるようなキャンペーンをやってくれると期待しています。

一応、次世代の育成に貢献するために、私も12月7日に板橋区の教育科学館で、小学生向けの発明教室で講師をやってきます。

お読み頂きありがとうございました。

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2008年11月22日土曜日

簡単、特許英語翻訳

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、簡単、特許英語翻訳の話です。

特許権は、国ごとに与えられるので、日本で特許を取得しても、米国などの外国では取得したことになりません。

このため、権利の欲しい各国で特許を取得する手続きを行う必要があります。

そして、例えば、米国特許出願をするなど外国で権利取得の手続きをするときには、英語など外国語に翻訳しなければなりません。

また、特許出願(特許の権利を取得するための申請手続き)をするためには、申請書類を書くのですが、その用語が多少特殊なため、なかなか翻訳が難しかったりします。

そこで、実務では、例えば、米国に特許出願をする場合には、米国の特許出願書類にある言葉や、表現を調べて翻訳するようにしています。

自分は、今までUSPTO(United States Patent and Trademark Office 米国特許商標庁)のパテントサーチを利用していました、

しかし、最近もっと便利なものを発見しました。

Google patent searchってご存知でしょうか?

これは、Googleの検索サービスの一つなのですが、米国特許の検索ができます。

Google patent searchは、700万以上の米国の特許文献を検索できます。

また、検索して出てきた米国の特許文献の文章自体も検索できるので、文例を調べるのに便利ですよ。

<今日のまとめ>
1.Google patent searchを使うと翻訳が楽になります。

お読み頂きありがとうございました。

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2008年11月21日金曜日

おいしいイチゴケーキは登録できるか?

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、おいしいイチゴケーキは登録できるかという話です。

あるケーキ屋さんが、イチゴケーキを作りました。

とても美味しかったので、おいしいイチゴケーキという名前を付けました。

これって登録できると思いますか?

おいしいイチゴケーキっていうと、単純においしくて、イチゴが乗ったケーキっていうイメージですよね。そして、どこの店が作ったのかよくわからないと思います。

例えば、自分は、Maxim's de Parisのミルフィーユがおいしいイチゴケーキというイメージですが、妻はカフェコムサのイチゴケーキのほうが、おいしいイチゴケーキというイメージのようです。

このように、おいしいイチゴケーキという言葉では、人によってイメージするイチゴケーキが異なります。このため、誰の商品かわからないので、商標登録が認められません。

つまり、商標登録をするためには、自分の商品と他人の商品との違いが識別可能な名前である必要があるのです。

弁理士が、自他商品等識別力が認められないので。。。と言ったら、他人の商品との違いを示せない名前と言いたいんだなぁと思っていただけると嬉しいです。

商品名や会社名をつけるときに、自他商品等識別力の点も意識してつけるといいと思います。

<今日のまとめ>
1.自他商品等識別力がない名前は、商標登録できない。

お読み頂きありがとうございました。

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2008年11月20日木曜日

なぜ本家・元祖争いが起きるのか?

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、なぜ本家・元祖争いが起きるのかという話です。

お菓子屋さんのAさんは、地元の特産品を有効活用しようと、野菜クッキー作りの研究を数年前に開始しました。

寝る暇も惜しんで日夜研究した結果、地元の特産品を用いた新野菜クッキーが出来上がりました。

だんだん、口コミやネットで新野菜クッキーが売れるようになり、とうとう情報誌などからインタビューが来るようになりました。

最初は、家族だけで店を経営していたAさんでしたが、あまりにも忙しいので、Bさんを雇うことにしました。

Bさんは、熱心な従業員だったので、Aさんは、徐々にBさんに仕事を任せるようになりました。

1年後には、Bさんは、新野菜クッキーの作り方もマスターし、Aさんよりも腕がいいのでは?と言われるようになりました。

さらに、Bさんは、新野菜クッキーの別バージョンの真野菜クッキーも開発し、それもお客様には好評でした。

そんなある日のこと、Bさんが突然辞めてしまいました。

信頼できる戦力のBさんがやめたため、Aさんは軽いショックを受けました。

しかし、話はそれで、終わらなかったのです。

Bさんが、隣町でお菓子屋さんを始めたのです。

そして、Aさんと同じ味の新野菜クッキーと、真野菜クッキーを売り始めたのです。

Bさんの野菜クッキー達によって、Aさんの売上が徐々に下がっていきました。

だんだんとAさんと、Bさんの仲は険悪となり、野菜クッキーの元祖・本家争いが始まりました。

確かに新野菜クッキーを開発したのはAさんでしたが、一番売れている真野菜クッキーはBさんが開発したものです。

このため、なかなか決着がつかず、両者ともに疲弊して、徐々に業績が悪化していきました。

仮に、Aさんが新野菜クッキーや、真野菜クッキーの商標権を持っていれば、Bさんが同じ名前で野菜クッキーを販売することはできませんでしたし、本家・元祖争いも避けることができました。

このような本家・元祖争いがたまに起きています。

どの商品名を守る必要があるか、ぜひ一度考えられることをお勧めします。

<今日のまとめ>
1.商標権があると本家・元祖争いが避けられる。

お読み頂きありがとうございました。


起業家支援プロジェクト DREAMGATE

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2008年11月19日水曜日

中国で契約するときの注意点

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、中国で特許や商標など知財関係の契約するときの注意点の話です。

まず、第一に相手先の”正式な企業名”を確認する必要があります。

正式な企業名を確認するってどういうこと?と思われるかもしれません。

例えば、日本の一般的な感覚のような、アクセンチュア?株式会社アクセンチュア?アクセンチュア株式会社というような前株か後株といった企業名を確認するレベルの話ではありません。

実は、中国の一部の企業は、コロコロ会社名が変わります。

その理由の一つに、起業支援税制みたいなものがあって、設立から3年までは優遇制度があったと聞いております。

このため、知らない間に社名が変更されているため、担当者が自社の正式な企業名を知らない場合もあります。

担当者の言うことだけを信じて、裏を取らずに間違った社名で契約してしまうと、契約書の作り直しや、関係省庁への届け出を再度やり直す必要が出てきます。

そして、やり直しのためにコストがかかり、さらに、商品の市場投入が遅れるなど機会損失が起きてしまいます。

<今日のまとめ>
1.中国において契約する場合、相手の正式名を調べることが重要です。

お読み頂きありがとうございました。


起業家支援プロジェクト DREAMGATE

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2008年11月18日火曜日

中国では特許代理人が商標出願できない!

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、中国では特許代理人が商標出願できないという話です。

日本では、特許庁で、特許も商標も手続きが可能です。

そして、日本の弁理士は、特許の登録申請(特許出願)も商標の登録申請(商標出願)も代理することができます。

それで、ついつい海外も同様の制度と勘違いしてしまいがちです。でも、国によって代理人制度が異なります。

例えば、中国では、特許(専利)と商標を管理している官庁が異なります。

特許は、中国知的財産局ですし、商標は、国家工商行政管理総局です。

そして、中国では特許代理人(専利代理人)と、商標代理人とは別物です。
(監督官庁が異なれば、当然違いますよね。。。)

このため、日本と同じ感覚で、特許代理人に商標のことを問い合わせても、中国の特許代理人は、特許の専門家ですから、商標のことはよくわかりません。

もちろん、客商売なので、特許代理人が商標代理人に問い合わせるケースもあるみたいですが、そのときは、費用が余計にかかってしまいます。

中国の制度や、法改正の情報を得るときなどは、ご注意を。

<今日のまとめ>
1.中国では、特許と商標とで監督官庁が異なる。
2.中国では、特許と商標とでは代理人制度が異なる。

お読み頂きありがとうございました。


起業家支援プロジェクト DREAMGATE

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2008年11月16日日曜日

マクドナルドの特許

こんにちは、 あとで読む
プロシード国際特許商標事務所弁理士の鈴木康介です。


今日は、マクドナルドやモスバーガーなどファーストフード店の特許の話です。

実は、私は、ファーストフードを食べるのが好きで、特に、地元板橋発祥のモスバーガーによく行きます。
(まぁ、モスは、fastかどうかは。意見が分かれるところでしょうが。。。)

さて、ファーストフード業界を特許の視点で見るとどうなるでしょうか。

今日は例として、日本マクドナルド、吉野家、モスフードを見てみます。

まず、会社の規模を比較してみると、

日本マクドナルドは、約3950億円の売上高(2008年3月期)、

吉野家は、約1557億円の売上高(2008年3月期)、

モスフードは、約623億円の売上高(2008年3月期)、

となっています。

日本マクドナルドは、吉野家の約2倍、約6.35倍の売上規模を持っています。

この売上の差は、どこから来ているのでしょうか?

イノベーション力の違いも売上の差の原因の一つではないかと思っています。

[各社特許の申請数と内容]

各社の特許の申請(出願)件数を比較してみます。

マクドナルドは、13件で、大きく分けて3つのパターンの出願をしていて、

1つ目のパターンは、調理器具

2つ目のパターンは、ビジネスモデル特許(CRM(Customer Relationship Management)及びSCM(supply-chain management)系)

3つ目のパターンは、店舗展開

という特許申請をしています。

吉野家は、3件で、肉のスライス方法や、食器の洗浄方法など調理器具系の特許申請をしています。

モスフードは、3件で、販売員支援システム系の特許申請をしています。

[分析]

ファーストフードビジネスを、店舗オープン前と店舗オープン後に分け、また、店舗オープン後を6段階に分け、各社の特許申請している部分を分析してみました(Value chain分析もどきです)。

すると、日本マクドナルドは、ファーストフードビジネスの様々な側面でイノベーションを起こしていることがわかりました。

○店舗オープン前の段階

日本マクドナルドは、店舗設置を容易にするための技術に関して特許を申請しています。

店舗を速くオープンできると、その分資金回収が速くなるので、日本マクドナルドは、土地を購入したらすぐに店舗をオープンするために、技術開発をしていることがわかります。

吉野家も店舗設置のための努力をしていると吉野家の経済学には書いてありましたが、それでも、吉野家が、特許の申請をしていないところを見ると、日本マクドナルドが、この分野にいかに力を入れているかがわかります。

○店舗オープン後の段階

1.広告宣伝と来店

日本マクドナルドは、オンラインクーポン、看板などの技術に関しても特許申請をしています。

つまり、通常の広告宣伝だけでなく、さらに、集客力を高めるための技術開発をしていると思います。

2.店員教育

日本マクドナルドは、社員教育用のイーラーニングシステムに関しても特許申請をしています。

社員教育だけでなく、イーラーニングシステムによって、社員教育の仕組みを整えることにも力を入れることによって、いち早く従業員を戦力化しようとしていると思います。

3.仕入

日本マクドナルドは、SCMに関しても特許申請をしています。

各店舗における商品販売数を精度よく予測し、発注等の作業負担の軽減を図り、商品の欠品や在庫過剰等を少なくし、サプライチェーン等における商品供給の効率化を図ろうとしていると思います。

4.注文

日本マクドナルドは、携帯電話を利用したドライブスルーの効率化の特許申請をしています。

モスフードは、セットメニューの提案システムや、アレルギーの情報提供システムなど販売員の支援システムの特許申請をしています。

特に、モスフードの特許申請は、この分野に集中しているので、販売員を支援することで、顧客サービスの向上を図っているのだと思います(だから、モスは雰囲気がいいのかなぁ?とひいき目に見て…。)。

6.調理して商品の提供

日本マクドナルドは、冷蔵庫や、調理器などの特許申請をしています。

吉野家は、肉のスライス方法や、食器の洗浄方法などの特許申請をしています。

両社とも、早さを売りにしているだけあって、注文してから提供までの時間を短くするための技術に力を入れているのだと思います。

これらの分析からわかるように、日本マクドナルドは、ファーストフードビジネスの様々な側面で技術開発を行っています。

これに対して、モスフードも、吉野家も一部の分野でしか技術開発を行っていないように見えます。

もちろん、モスフードや、吉野家が、ノウハウとして、他の分野の技術を社外秘にしている可能性があります。しかし、日本マクドナルドが、ファーストフードビジネスの様々な側面で技術開発していることが、高い売上につながっているのではないかと思います。

<今日のまとめ>
  • 特許の申請内容を分析することによって、各社の姿勢がわかる。
  • サービス業でもビジネスの様々な分野でイノベーションを起こすことによって優位に立つことができる。
  • お読み頂きありがとうございました。

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    2008年11月14日金曜日

    知財系の詐欺

    こんにちは、

    プロシード国際特許商標事務所
    弁理士の鈴木康介です。

    今日は、知財系の詐欺の話です。

    特許権の価値は、分野によって異なります。

    電子機器の場合には、一つ一つの権利は小さいですが、化学やバイオの場合には、一つの権利は非常に大きいです。

    このため、電子機器の世界では、一つの権利で事業すべてを覆えないため、他者の権利を使う必要があります。

    しかし、化学やバイオの場合には、一つの権利がとても大きいのです。

    例えば、化学調味料の物質の権利を一つをとれば、他者がその化学調味料を使えなくなります。つまり、一つの権利によって、事業全体を守ることが可能になります。

    このように、一つの権利がとても大きいため、ベンチャーキャピタルさんは、電子機器の特許を一つ持っていてもあまり評価しませんが、化学・バイオの特許を一つ持つと高く評価する習性をもっているようです。

    しかし、その習性を悪用するベンチャーがいます。

    例として、アーリーステージの技術系ベンチャーが行った詐欺の話をします。

    その技術系ベンチャーは、バイオ系の特許申請中の発明を複数持っていました。

    それに加えて、その技術系ベンチャーのプレゼンテーションは、とても上手でした。

    このため、ベンチャーキャピタルは将来性を感じ、ベンチャーキャピタルはその技術系ベンチャーに数千万の資金提供をしました。

    しばらくすると、技術系ベンチャーの幹部たちは、お金を持って消えました…。

    ベンチャーキャピタルは、申請中の特許など、残された資産を売却することによって資金を回収しようと思いました。

    特に、申請中の特許に期待をしていました。

    ところが、残念ながら、その申請中の特許の技術は、申請前から知られている技術だったため、特許になる可能性が全くないものでした。

    財務・法務・ビジネスのデューデリジェンスだけでも大変ですが、資金投入前に軽く調査すれば避けられたかもしれません。。。

    <今日のまとめ>
    1.資金を投入する前に知財デューデリジェンスをした方が良い。

    お読み頂きありがとうございました。


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    外国特許出願(外国で特許権を取るためにその1)

    こんにちは、

    プロシード国際特許商標事務所
    弁理士の鈴木康介です。

    今日は、外国特許出願の話です。

    昨日、日本と海外とでは、特許権が独立しているので、その国ごとに特許権を取らなければならないという話をしました。

    では、海外で特許権を取るにはどうすればいいのでしょうか。

    基本的には、その取りたい国に特許権取得のための申請(出願)を行う必要があります。

    そして、海外で特許権を取るには、取りたい国へ直接出願をする方法、パリ条約の優先権による出願をする方法、PCTによる国際出願をする方法の3種類の方法があります。

    1.直接出願

      この方法は、特許権を取得したい国(例えば、米国や中国)に直接出願をするというものです。

     ○メリット
      
      その国に合わせた明細書(申請書類)が作成できる。
      他の方法と比べて、必要な書類が少ない。

     ○デメリット

      国が多くなると費用がかさむ傾向にある。
      他の方法と比べると、早い者勝ちの世界では不利になりやすい
      (優先権制度を使っていないので、現実の出願日として扱われる。)

    2.パリ条約の優先権による出願

      この方法は、パリ条約の優先権を用いて、特許権を取得したい国(例えば、米国や中国)に出願をするというものです。

     ○メリット

      その国に合わせた明細書(申請書類)が作成できる。
      第1国の出願日から1年以内に出願した場合には、第1国の出願日に出願したとして有利な取り扱いを受けられる。
      例えば、日本に平成19年12月1日に出願して、平成20年11月13日に中国に出願した場合、中国で平成19年12月1日に出願したとして有利な取り扱いを受けることができる。

     ○デメリット

      国が多くなると費用がかさむ傾向にある。

    3.PCTによる出願

      この方法は、PCTに基づく国際出願を用いて、PCT加盟国に出願をするというものです。


     ○メリット

      出願の束となるので、一部の書類が共通化されるため、コストが削減できる。
      基本的に、全てのPCT加盟国に一回の手続きで出願することができる。

      EPCを利用することによって欧州で強力な権利を取りやすい。

      意思決定のための期間が長いので、標準化や、マーケットの動向によって柔軟に対応できる。
      (詳しく説明すると、一回分のテーマになるので詳細は別途書きます。)

      中国などでは補正ができるようになる。

     ○デメリット

      5カ国以下では、コスト高になる傾向にある。

    <今日のまとめ>
    1.海外で特許を取るには、直接出願、パリ条約の優先権による出願、PCTによる国際出願の3種類の方法があります。
    2.それぞれ、メリット・デメリットがあるので、自社の状態に合わせて選択する必要がある。

    お読み頂きありがとうございました。


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    2008年11月13日木曜日

    国際特許でだまされた

    こんにちは、

    プロシード国際特許商標事務所
    弁理士の鈴木康介です。

    今日は、国際特許でだまされた話です。

    ある日のことです。

    「今度、南アフリカで特許を持っている商品を輸入して、日本で売ることにしたよ。」

    と知人に言われました。

    「そうなんですか。

     ところでUさん日本の権利関係はどうなってますか?」

    「日本の特許はないけど。

     国際特許をとっているから大丈夫って言われたよ。」

     ???国際特許って何???PCT(特許協力条約)による国際出願はあるけど。。。

    「Uさん。

     ちなみに国際特許ってどんな説明を受けた?」

    「え。

     アフリカの特許だけど、国際特許だから世界中で使えるって言われたけど。。。

     なんで?」

    「Uさん。あまり、言いたくないけど。

     ひょっとしたら、だまされているかも。

     特許って、国ごとで与えられるから、国際特許ってないんだ。

     例外的に、EPC(欧州特許出願)みたく欧州の複数国で権利を得られることがあるけど。

     アフリカの特許は、日本じゃ権利行使できないよ。」

    「え~。だまされたの?俺・・・。」

    このように、特許制度は属地主義を採用しているので、日本の特許権の権利が及ぶのは、日本国内となります。

    そして、日本国内では、他国の特許権の権利は及びません。

    当然、南アフリカの特許権は、日本で使えません。

    それに、南アフリカは無審査なので、特許出願をすれば登録できたはずですし…。

    今回、Uさんがだまされた国際特許を持っているので。。。という話をよく聞くので、皆さんはだまされないようにご注意ください。

    <今日のまとめ>
    1.特許権は国ごとに独立している。
    2.必要な国ごとに、権利を持つ必要がある。

    お読み頂きありがとうございました。


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    2008年11月12日水曜日

    ゼロから起業して成功する方法

    こんにちは、

    プロシード国際特許商標事務所
    弁理士の鈴木康介です。

    起業すると、会社員時代には経験してこなかった資金繰りなどお金の問題に遭遇します。

    そもそも、起業するとどのような出費がかかってくるか、起業前に知識がある方は少ないと思います。
    (ひょっとして、知識がなかったのは自分だけですかね?)

    社会保険料や、各種税金などちょっと知識があるだけで、びっくりするほど出費が変わります。

    もしも、起業されるならば、我々のような知財の専門家だけでなく、税理士や社労士などにも相談されると、結局のところ無駄な費用を削減でき、必要なところに費用をかけられると思います。

    今は私も仕事上、税理士・社労士・弁護士など様々な方とお付き合いができましたで、専門家のご紹介が必要にならばご紹介できるようになりました。

    お付き合いのある税理士さんの一人が、今度セミナーを行います。

    ■セミナー名
     ゼロから起業して成功する方法

    ■ 日時
     2008.11.22(土)19:00-21:30

    ■ 会場
     文京シビックホール3階 会議室1
     (東京メトロ後楽園駅直通)

    ■ 費用
     3,000円

    詳しくはクリック

    彼女は若いですが、税理士の他にもMBAを取得し、中小企業、特にスタートアップ期のベンチャー企業に対する様々な経験を積んできています。

    様々な節税テクニックを持っているので、無駄な費用を削減するため、起業前にお話を聞いても良いかも知れません。

    ただ、彼女は、数字や税にはめっぽう強いですが、セミナー告知を見て分かるように技術には弱いので、相談する際、技術用語を使わない方が話がスムーズですよ。

    お読み頂きありがとうございました。


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    2008年11月10日月曜日

    新商品をお客に見せちゃダメなの(新規性)?

    こんにちは、

    プロシード国際特許商標事務所
    弁理士の鈴木康介です。

    今日は、新商品をお客に見せると特許が取れないという話です。

    取引先に新製品を見せないと、売れないよ!という方もいると思います。

    また、いち早くプレスリリースしたいよ。という方もいると思います。

    でも、もしも特許権が必要ならば、特許申請の手続きが終わるまで他社さんに知られせるのは待ってください。

    特許は新しい発明でないと取ることができません
    (ちなみに、専門用語で新しいということを新規性といいます)。

    なんで、新しくないと特許が取れないのでしょうか?

    もしもですよ。

    いまさら、鈴木が、エジソンの発明した電球の基本原理の特許をとったとします。

    すると、鈴木がその特許権に基づいて、P社、T社などに権利行使して、電球を売るなと言ったりできるようになってしまいます。

    でも、電球の基本原理は、みんなが既に知っていることです。これを特定の人(この場合は、鈴木)に独り占めさせるのはまずいですよね。

    このため、特許法では、守秘義務のない他人に話すなどして、新しくなくなった発明(つまり、一般に知られ、誰もが使えるようになった発明)を保護しないようになっています。

    つまり、取引先やマスコミに話したら、特許法の観点からは、誰もが自由に使える発明になったとみなされ、新しいとは認められなくなるのです。

    特許の申請が終われば、発表しても別に関係ないので、特許が必要なときは申請してから発表くださいね。

    <今日のまとめ>
    1.新しいものでないと特許にならない。

    お読み頂きありがとうございました。


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    2008年11月9日日曜日

    無料で著作権を得る方法

    こんにちは、

    プロシード国際特許商標事務所
    弁理士の鈴木康介です。

    今日は、無料で著作権を得る方法の話です。

    なんだそれ。当たり前だろ。と言われる方もいると思います。

    そのとおりです。著作権は自然に発生するので、登録する必要がありません。

    ところが、それを知らないばっかりに、高いお金を取られている人がいます。

    実は、先日、知人と、ガラス作家(ステンドグラスなどを作る芸術家)のアトリエに遊びに行きました。

    「鈴木さんは、弁理士なんだ。

     実は、うちの作品、工業所有権、とってるんだよ。」

    工業所有権?確かに、昔、特許や商標は工業所有権法と言われていたけど…。

    たぶん、意匠(デザイン)のことかなぁ???

    「Sさん、すごいですねぇ。」

    すると、Sさんは、登録証を持ってきてくれました。

    そこには、意匠でも、特許でもなく、単に工業所有権登録証と書かれた書面がありました。

    「Sさん、これどこで手に入れたんですか?」

    「前、知り合った先生が登録してくれたんだよ。

     著作権を登録してくれるとか言って、

     40~50万ぐらいかかったけど。

     こうやって、俺の権利が登録されてるかと思うとうれしいね。」

    とSさんは、目をきらきらさせながら言いました。

    その登録に誇りを持っているSさんには、いわゆる著作権登録商法にひっかけられたとは言えず、今度、必要な時は絶対に、自分に声をかけてくださいとしか言えませんでした。

    著作権の登録に40~50万円取るなんて、ひどい話です。

    著作権は、作品が作られたときに権利が発生するので、特許、意匠、商標などと違って、官公庁に登録しなくても権利が発生します。

    このため、別に登録する必要もないため、年間の登録件数も特許や商標と比べると大したことがありません。

    一応、登録しておくと、著作者として推定されたり、公表日が推定されたりなどします。ただ、裁判になったときは、相手方の出方によっては覆される可能性があります。

    だから、1~3万円ぐらい出して著作権を登録するならいいですが、数十万も出して登録する必要はないと思います。

    何しろ、著作権は自然に発生しますので、わざわざ高いお金を出して日本では登録する必要はありませんよ。

    参考のため、文化庁の著作権登録制度のリンクを張っておきます。

    <今日のまとめ>
    1.著作権は、登録しなくても発生する。
    2.著作権登録業者に注意!

    お読み頂きありがとうございました。


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    2008年11月8日土曜日

    香港で商標出願しても中国大陸では守られない!

    こんにちは、

    プロシード国際特許商標事務所
    弁理士の鈴木康介です。

    今日は、香港と中国大陸の話です。

    香港は1997年に中国に返還されました。

    この香港の返還交渉に関するイギリスと中国のやりとりは、浅田次郎さんの蒼穹の昴(4) (講談社文庫)に書かれてまして、その交渉過程が、歴史的な事実かどうかわかりませんけど、面白かったですよ。

    さて、このような歴史的経緯から、香港と大陸とは別制度で運用されています。

    いわゆる一国二制度です。

    これが、商標の世界にも影響を与えています。

    例えば、香港に進出し、その時に、香港で商標出願をしたとします。

    香港も中国の一部だから、香港で商標権をとれば、中国でも商標権をとれると思ったら、そんなことはありません。

    こんな事件がありました。

    良品計画(無印良品の会社です)さんが、1991年に香港で「無印良品」の商標出願をしました。

    そして、同年香港で合併会社の営業を開始しました。

    すると、香港のA社が1994年に中国大陸に「無印良品」の商標出願をしました。

    そして、1995年に中国大陸では、A社の「無印良品」の商標が登録されました。

    最終的には、良品計画さんが、商標の登録取り消しを求めて、A社の「無印良品」の商標の登録は取り消されました。

    この事件では、「無印良品」が香港でも有名でしたし、世界で展開していたことが有利に働き、さらに、A社の「無印良品」が登録されてから、すぐに動いたことが幸いしたのだと思います。

    商標法は、現在のところ、香港と中国大陸とは異なります。しかし、人・物・情報は、香港と中国との間を行き来しています。

    香港のみに進出した商品の商標が、中国大陸で勝手に登録され、自社が中国大陸に進出するときに、香港で使用していた商標が使えなくなる可能性があります。

    さらに、香港市場での自社商品の模造品を中国大陸で売られた場合に、中国大陸の商標権がなければ、権利行使が非常に困難です。

    このため、香港に進出する際には、中国大陸の商標も取得を考えたほうが良いかと思います。

    <今日のまとめ>
    1.香港と中国は現状、商標登録はそれぞれに行う必要がある。
    2.香港で商売するならば、大陸でも登録したほうがいい。

    お読み頂きありがとうございました。


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    2008年11月7日金曜日

    ベンチャー流特許出願の活用法 番外編 その2

    こんにちは、

    プロシード国際特許商標事務所
    弁理士の鈴木康介です。

    今日は、ベンチャー流特許出願の活用法の続編です。

    昨日、特許出願は申請した日(出願日)から1年6月の間は公開されないため、特許出願中とすることによって、相手を疑心暗鬼にさせ、開発の邪魔ができるという話をしました。

    さて、本日は次のステップです。出願日から1年6月経過し、特許出願が公開された場合、ベンチャー企業が、これを有効利用するにはどんな方法があるでしょうか?

    まず、一般的なやり方では、公開された公報(申請書類の内容が書かれた書面)を似たようなことをやっているベンチャー企業に送りつけて、その申請の特許権が成立した後に補償金を請求する方法があります(特許法第65条)。

    この補償金の請求をするためには、その発明が特許になっていることが必要とされているので、特許請求の範囲(自己の特許権として請求する権利範囲)も権利化を意図した表現にする必要があります。
    (特許にならないと使えないため…。)

    また、別のやり方では、相手企業の技術者に読ませることを意識した特許請求の範囲を書くという方法があります。

    一般的に特許請求の範囲は、発明の概念を抽象化して、より権利範囲が広くなるように記載します。このため、知財部や弁理士などの知財業界人には見慣れているためわかりやすい記載ですが、知財業界外の人から見るとわかりにくい記載になることが多いです。

    このため、自社の特許出願の公開公報を、他のベンチャー企業の技術者・開発者が見たとしても、読む気が起こらず、気にも留めない可能性があります(もちろん、将来的に権利行使できるかもしれませんが…)。

    しかし、仮に、技術者の使う言葉で特許請求の範囲を記載した場合、他のベンチャー企業の技術者・開発者が理解できるため、彼らにプレッシャーをかけることができます。

    例えば、IT業界ですと、ドックイヤーと呼ばれるぐらい技術開発の速度が速いです。

    そこで、特許請求の範囲を現場のエンジニアが分かるように書くことによって、相手の開発速度を遅らせることができます。

    相手の開発速度を遅らせている間に、自社の商品を投入し、シェアを取るわけです。

    ただし、この場合には、特許請求の範囲の記載が具体的なので、仮に権利化できたとしても、権利範囲が狭くなりがちです。このため、権利化しにくい技術のときに有用だと思います。

    また、この方法は、知財部をきちんと備えている大企業には通用しません。

    しかし、知っているベンチャー企業の社長さんは、

    「うちの本当の敵は、大手さんじゃないんだよ。

     同規模の同業さん。

     そことの開発競争に勝てばいいんですよ。」

    と言ってました。

    その社長さんは、うまく特許出願の公開公報や、特許権を有効活用し、他のベンチャー企業や中小企業との競争に打ち勝った結果、3年後に会社を上場し、株を売却し、今では楽しく暮らしているようです。

    弁理士を使うときのアドバイスです。多くの弁理士は、お客様の意図に応じて、特許の申請書類の書き方を変えますので、技術の説明に加えて、特許申請の意図も教えていただけるより使いやすい出願書類を作成できると思います。

    <今日のまとめ>
    1.公開公報で警告すると、権利化後に補償金請求が可能になる。
    2.権利化されるまで、権利範囲がわからないので、相手の開発の邪魔をできる。
    3.弁理士に情報開示したほうが、使いやすい明細書ができる。

    お読み頂きありがとうございました。


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    2008年11月6日木曜日

    ベンチャー流特許出願の活用法 番外編

    こんにちは、

    プロシード国際特許商標事務所
    弁理士の鈴木康介です。

    今日は、ベンチャー流特許出願の活用法の話です。

    本論も書いていないのに、番外編というのには理由があります。今日書く内容はちょっと変わった内容ですので、番外編としました。

    普通、弁理士はいかに広く権利範囲を取るかということに頭を悩ませます。

    広く権利範囲を取ろうとすると特許庁に拒絶されますし、通りやすくするために狭い権利範囲にすると面白みが減少するからです。

    この考え方は、正統的でまっとうだと思います。

    ただ、この考え方は、特許権にならないとビジネスに使えないという前提が隠れています。

    しかし、特許権を取得するには、時間がかかります。

    特許庁によれば、「審査順番待ち期間も2003年の25か月から2007年は27か月と長期化している。」そうです。

    このため、スーパー早期審査などをしない限り、出願(発明を権利化するための特許庁への申請)から特許権による権利行使が可能になるまでの期間は数年かかってしまいます。

    それでは、権利化するまで特許出願によるビジネス上の効果は得られないのでしょうか?

    そんなことはありません。

    特許出願中を有効活用するという方法もあります。

    ご存知の方も多いと思いますが、特許出願は、特許出願の日から1年6月を経過したときは公開されます(特許法第64条)。

    逆に言えば、1年6か月を過ぎるまでは誰にもその特許出願の内容はわかりません。

    このため、自社が特許出願をしたこと自体が、競合のベンチャー企業にプレッシャーを与えることができます。

    例えば、新聞で自社の新ビジネスが報道され、その記事の中に特許出願していると出ているとします。

    競合の特許出願の内容は、出願から1年6か月経過するまでは誰も知ることができません。競合は、自社の特許出願がわかりませんから、どんな内容だろうと疑心暗鬼となります。

    競合から見れば、自社の特許出願が権利化し、競合のビジネス内容が、自社の特許権と重なると差止請求などの権利行使を受ける可能性があるので、こういった事態は避けたいはずです。

    このため、競合の開発のスピードが落ちますので、その間にシェアを取ることができます。

    もちろん、この方法は特許権がほとんどないベンチャー企業同士だからできる方法であって、クロスライセンスの種となる特許権を大量に保有している大企業には通用しません。

    しかしながら、初期のベンチャー企業の本当の競合は、ベンチャー企業ですので、この方法が通用することが多いです。

    特許出願したことをプレスリリースして、競合にプレッシャーを与えて、シェア獲得の一助にしてみませんか?

    <今日のまとめ>
    1.特許出願は出願から1年6月を過ぎるまで公開されない。
    2.特許出願をしたということ自体が、競合にプレッシャーを与えることがある。

    お読み頂きありがとうございました。


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    2008年11月5日水曜日

    この著作権はいくらかな?(知財の価値評価)

    こんにちは、

    プロシード国際特許商標事務所
    弁理士の鈴木康介です。

    今日は、この著作権はいくらかな?という知財の価値評価の話です。

    実は、私は弁理士会の価値評価推進センター運営委員を3年ほどやっています。

    明日(今日?)も委員会があるので、昨晩は委員会の準備に追われていました。

    この委員会が、何をやる委員会かというと、大きく分けると2つの知財の評価手法を研究しています。

    1つめが、知財の定量的評価です。

    知財の定量的評価とは、簡単にいえば、Kさんが持っている著作権がいくらであるかという評価です。

    委員会では、この定量的評価をするために必要な手法を開発し、また、評価する際に必要な情報を収集し、その手法と情報を他の弁理士への普及することを目的に活動をしています。

    知財の定量的評価を行う手法としては、

    1.インカムアプローチ

     この手法は、この知財を使うことによる一定期間の売上を予測し、それを現在価値に割り引く手法です。
     俗にいう、DCF法や、モンテカルロシミュレーションなどが該当します。
     一番、一般的かも知れません。

     例えば、Kさんの全ての曲が1年目の売上は○円、2年目の売上は○円で、・・10年目の売上は○円で、現在価値を出すために5%で割り引くとすると・・・。5億円ですね!といったような計算をする方法です。

    2.コストアプローチ

     この手法は、この知財を作成・入手するためにかかるであろう金額を出す手法です。

     例えば、製作費として、Kさんがロスでレコーディングして、○千万かかったし、ロンドンでレコーディングして、○千万かかって・・・。合計、5億円です。といったような計算をする方法です。

    3.マーケットアプローチ

     この手法は、知財を市場で取引した場合の金額を出す方法です。

     例えば、Kさんの全曲をオークションにかけると、結果5憶円ですね。といったような計算をする方法です。

     昔は、知財の市場がなかったので、なかなか使用するのが難しい方法でした。

     しかし、最近ではオーシャントモの藤森さんたちが頑張って、知財市場の創出をして、知財の売買の相場を作ろうと努力をしているので、そのうち、広まるかもしれません。

    なお、上に示した例は、かなり単純化しています。実際は様々な要因を考える必要があり、かなりの工数がかかり大変な作業となります。

    このため、委員会は、知財評価手法を標準化することにより、結果のばらつきを減らすと共に、作業を楽にするように活動しているのです。

    2つめが、知財の定性的評価です。

    この評価は金額を出すのではなく、事業戦略を実行できるような知財力を会社が備えているかという評価方法です。

    この定性的評価手法を考える上で、例えば、ダウケミカルさんのパテントポートフォリオの管理(役員室にエジソンがいたら-知的財産で勝つ経営戦略Intangibles: Management, Measurement, and Reporting)とか、キャノンさんの知財戦略(知財、この人にきく (Vol.1)や、キヤノン特許部隊 (光文社新書))などが参考になると思います。

    ただ、委員会の定性的評価についての研究は、やっと佳境に入ってきたところなので、もう少しまとまってから書きたいと思います。

    <今日のまとめ>
    1.知財の評価は定量的評価と定性的評価がある。
    2.定量的評価は、インカムアプローチ、コストアプローチ、マーケットアプローチがある。

    お読み頂きありがとうございました。

    それにしても、学生時代、7 Days warなどTMNの曲が好きだっただけに、今回の事件は本当にショックでした……。


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    2008年11月4日火曜日

    大瓶で買った香水を詰め替えて販売すると。。。

    こんにちは、

    プロシード国際特許商標事務所
    弁理士の鈴木康介です。

    今日は、大瓶で買った香水を詰め替えて販売した場合の話です。

    海外旅行などに行くと、香水やお酒が安く買える場合がありますよね。

    現地で正規品を購入して、国内で販売することは、商標法上では基本的に可能です。
    (なお、関税法や薬事法などの問題が発生する場合もありますが、これは税理士や弁護士さん達に聞いてください。)

    それでは、大瓶で買った香水を、そのブランド名の付いた小瓶に詰め替えて販売することはできると思いますか?

    中身は正規品の香水です。

    その香水が入っていた大瓶と同じ商標をつけて販売しています。

    別に問題がないようにも思えます。

    しかしながら、これは商標権侵害であると判定されるでしょう。

    実は、昔、パチンコホールに販売したある調味料を集めて、その調味料名が付いたダンボールに詰めて販売するという事件がありました。

    これって、さっきの香水の話と似ていませんか。

    結局、この調味料の事件は、最高裁まで争いましたが、この事件は商標権侵害であるという判決が出ました。

    この事件からわかるように、大瓶で買った香水を、正しいブランド名の小瓶に詰め替えて販売したとすると商標権侵害とされる可能性が極めて高いです。

    個人輸入などされる方は気をつけてください。

    あと、やる人はいないと思いますが、偽ブランドの輸入は商標法違反で罰則規定がありますよ(商標法第78条)。

    偽ブランドの輸入はやらないでくださいね。

    <今日のまとめ>
    1.詰め替え販売は、商標権侵害になり得る。

    お読み頂きありがとうございました。


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