2008年11月8日土曜日

香港で商標出願しても中国大陸では守られない!

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、香港と中国大陸の話です。

香港は1997年に中国に返還されました。

この香港の返還交渉に関するイギリスと中国のやりとりは、浅田次郎さんの蒼穹の昴(4) (講談社文庫)に書かれてまして、その交渉過程が、歴史的な事実かどうかわかりませんけど、面白かったですよ。

さて、このような歴史的経緯から、香港と大陸とは別制度で運用されています。

いわゆる一国二制度です。

これが、商標の世界にも影響を与えています。

例えば、香港に進出し、その時に、香港で商標出願をしたとします。

香港も中国の一部だから、香港で商標権をとれば、中国でも商標権をとれると思ったら、そんなことはありません。

こんな事件がありました。

良品計画(無印良品の会社です)さんが、1991年に香港で「無印良品」の商標出願をしました。

そして、同年香港で合併会社の営業を開始しました。

すると、香港のA社が1994年に中国大陸に「無印良品」の商標出願をしました。

そして、1995年に中国大陸では、A社の「無印良品」の商標が登録されました。

最終的には、良品計画さんが、商標の登録取り消しを求めて、A社の「無印良品」の商標の登録は取り消されました。

この事件では、「無印良品」が香港でも有名でしたし、世界で展開していたことが有利に働き、さらに、A社の「無印良品」が登録されてから、すぐに動いたことが幸いしたのだと思います。

商標法は、現在のところ、香港と中国大陸とは異なります。しかし、人・物・情報は、香港と中国との間を行き来しています。

香港のみに進出した商品の商標が、中国大陸で勝手に登録され、自社が中国大陸に進出するときに、香港で使用していた商標が使えなくなる可能性があります。

さらに、香港市場での自社商品の模造品を中国大陸で売られた場合に、中国大陸の商標権がなければ、権利行使が非常に困難です。

このため、香港に進出する際には、中国大陸の商標も取得を考えたほうが良いかと思います。

<今日のまとめ>
1.香港と中国は現状、商標登録はそれぞれに行う必要がある。
2.香港で商売するならば、大陸でも登録したほうがいい。

お読み頂きありがとうございました。


起業家支援プロジェクト DREAMGATE

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