2008年11月16日日曜日

マクドナルドの特許

こんにちは、 あとで読む
プロシード国際特許商標事務所弁理士の鈴木康介です。


今日は、マクドナルドやモスバーガーなどファーストフード店の特許の話です。

実は、私は、ファーストフードを食べるのが好きで、特に、地元板橋発祥のモスバーガーによく行きます。
(まぁ、モスは、fastかどうかは。意見が分かれるところでしょうが。。。)

さて、ファーストフード業界を特許の視点で見るとどうなるでしょうか。

今日は例として、日本マクドナルド、吉野家、モスフードを見てみます。

まず、会社の規模を比較してみると、

日本マクドナルドは、約3950億円の売上高(2008年3月期)、

吉野家は、約1557億円の売上高(2008年3月期)、

モスフードは、約623億円の売上高(2008年3月期)、

となっています。

日本マクドナルドは、吉野家の約2倍、約6.35倍の売上規模を持っています。

この売上の差は、どこから来ているのでしょうか?

イノベーション力の違いも売上の差の原因の一つではないかと思っています。

[各社特許の申請数と内容]

各社の特許の申請(出願)件数を比較してみます。

マクドナルドは、13件で、大きく分けて3つのパターンの出願をしていて、

1つ目のパターンは、調理器具

2つ目のパターンは、ビジネスモデル特許(CRM(Customer Relationship Management)及びSCM(supply-chain management)系)

3つ目のパターンは、店舗展開

という特許申請をしています。

吉野家は、3件で、肉のスライス方法や、食器の洗浄方法など調理器具系の特許申請をしています。

モスフードは、3件で、販売員支援システム系の特許申請をしています。

[分析]

ファーストフードビジネスを、店舗オープン前と店舗オープン後に分け、また、店舗オープン後を6段階に分け、各社の特許申請している部分を分析してみました(Value chain分析もどきです)。

すると、日本マクドナルドは、ファーストフードビジネスの様々な側面でイノベーションを起こしていることがわかりました。

○店舗オープン前の段階

日本マクドナルドは、店舗設置を容易にするための技術に関して特許を申請しています。

店舗を速くオープンできると、その分資金回収が速くなるので、日本マクドナルドは、土地を購入したらすぐに店舗をオープンするために、技術開発をしていることがわかります。

吉野家も店舗設置のための努力をしていると吉野家の経済学には書いてありましたが、それでも、吉野家が、特許の申請をしていないところを見ると、日本マクドナルドが、この分野にいかに力を入れているかがわかります。

○店舗オープン後の段階

1.広告宣伝と来店

日本マクドナルドは、オンラインクーポン、看板などの技術に関しても特許申請をしています。

つまり、通常の広告宣伝だけでなく、さらに、集客力を高めるための技術開発をしていると思います。

2.店員教育

日本マクドナルドは、社員教育用のイーラーニングシステムに関しても特許申請をしています。

社員教育だけでなく、イーラーニングシステムによって、社員教育の仕組みを整えることにも力を入れることによって、いち早く従業員を戦力化しようとしていると思います。

3.仕入

日本マクドナルドは、SCMに関しても特許申請をしています。

各店舗における商品販売数を精度よく予測し、発注等の作業負担の軽減を図り、商品の欠品や在庫過剰等を少なくし、サプライチェーン等における商品供給の効率化を図ろうとしていると思います。

4.注文

日本マクドナルドは、携帯電話を利用したドライブスルーの効率化の特許申請をしています。

モスフードは、セットメニューの提案システムや、アレルギーの情報提供システムなど販売員の支援システムの特許申請をしています。

特に、モスフードの特許申請は、この分野に集中しているので、販売員を支援することで、顧客サービスの向上を図っているのだと思います(だから、モスは雰囲気がいいのかなぁ?とひいき目に見て…。)。

6.調理して商品の提供

日本マクドナルドは、冷蔵庫や、調理器などの特許申請をしています。

吉野家は、肉のスライス方法や、食器の洗浄方法などの特許申請をしています。

両社とも、早さを売りにしているだけあって、注文してから提供までの時間を短くするための技術に力を入れているのだと思います。

これらの分析からわかるように、日本マクドナルドは、ファーストフードビジネスの様々な側面で技術開発を行っています。

これに対して、モスフードも、吉野家も一部の分野でしか技術開発を行っていないように見えます。

もちろん、モスフードや、吉野家が、ノウハウとして、他の分野の技術を社外秘にしている可能性があります。しかし、日本マクドナルドが、ファーストフードビジネスの様々な側面で技術開発していることが、高い売上につながっているのではないかと思います。

<今日のまとめ>
  • 特許の申請内容を分析することによって、各社の姿勢がわかる。
  • サービス業でもビジネスの様々な分野でイノベーションを起こすことによって優位に立つことができる。
  • お読み頂きありがとうございました。

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