2008年11月6日木曜日

ベンチャー流特許出願の活用法 番外編

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、ベンチャー流特許出願の活用法の話です。

本論も書いていないのに、番外編というのには理由があります。今日書く内容はちょっと変わった内容ですので、番外編としました。

普通、弁理士はいかに広く権利範囲を取るかということに頭を悩ませます。

広く権利範囲を取ろうとすると特許庁に拒絶されますし、通りやすくするために狭い権利範囲にすると面白みが減少するからです。

この考え方は、正統的でまっとうだと思います。

ただ、この考え方は、特許権にならないとビジネスに使えないという前提が隠れています。

しかし、特許権を取得するには、時間がかかります。

特許庁によれば、「審査順番待ち期間も2003年の25か月から2007年は27か月と長期化している。」そうです。

このため、スーパー早期審査などをしない限り、出願(発明を権利化するための特許庁への申請)から特許権による権利行使が可能になるまでの期間は数年かかってしまいます。

それでは、権利化するまで特許出願によるビジネス上の効果は得られないのでしょうか?

そんなことはありません。

特許出願中を有効活用するという方法もあります。

ご存知の方も多いと思いますが、特許出願は、特許出願の日から1年6月を経過したときは公開されます(特許法第64条)。

逆に言えば、1年6か月を過ぎるまでは誰にもその特許出願の内容はわかりません。

このため、自社が特許出願をしたこと自体が、競合のベンチャー企業にプレッシャーを与えることができます。

例えば、新聞で自社の新ビジネスが報道され、その記事の中に特許出願していると出ているとします。

競合の特許出願の内容は、出願から1年6か月経過するまでは誰も知ることができません。競合は、自社の特許出願がわかりませんから、どんな内容だろうと疑心暗鬼となります。

競合から見れば、自社の特許出願が権利化し、競合のビジネス内容が、自社の特許権と重なると差止請求などの権利行使を受ける可能性があるので、こういった事態は避けたいはずです。

このため、競合の開発のスピードが落ちますので、その間にシェアを取ることができます。

もちろん、この方法は特許権がほとんどないベンチャー企業同士だからできる方法であって、クロスライセンスの種となる特許権を大量に保有している大企業には通用しません。

しかしながら、初期のベンチャー企業の本当の競合は、ベンチャー企業ですので、この方法が通用することが多いです。

特許出願したことをプレスリリースして、競合にプレッシャーを与えて、シェア獲得の一助にしてみませんか?

<今日のまとめ>
1.特許出願は出願から1年6月を過ぎるまで公開されない。
2.特許出願をしたということ自体が、競合にプレッシャーを与えることがある。

お読み頂きありがとうございました。


起業家支援プロジェクト DREAMGATE

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