こんにちは、
プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。
今日は、日本経済新聞の記事の話です。
携帯電話ソフトウェアの特許出願が知財キャリアのスタートだったので、ちょっと日経新聞の記事に意見を言いたくなってしまいました。
本日(1月5日)の日経新聞に
「特許、ソフトも保護対象に 大幅な法改正、特許庁検討」
という見出しが記載されていました。
さらに、
「「モノ」が対象だった特許の保護対象にソフトウエアなどの無形資産を追加。」
という記載もありました。
ところがですね。
この記事は、多少誤解を生じ得る記載だと思います。
特許法第2条第1項には、
「この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。」
とあります。
つまり、特許法の保護対象は、「モノ」ではなくて、産業上利用することができる発明(特許法第29条第1項柱書き)ですし、
「方法」や「製造方法」も特許法の保護対象になります(特許法第2条第3項第2号、同3号)。
このように、特許法の保護対象は、もともと「モノ」ではなく、発明(無形資産)ですので、無形資産を追加という表現はいかがなものかと。。。
さらに、特許法第2条第3項第1号には、
「物(プログラム等を含む。以下同じ。)の発明にあつては、その物の生産、使用、譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい、その物がプログラム等である場合には、電気通信回線を通じた提供を含む。以下同じ。)、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む。以下同じ。)をする行為」
とあり、現状の特許法では、「物」の定義にプログラムが含まれています。
もちろん、昔は、プログラムは「物」の定義に含まれておりませんでした。
しかし、平成14年改正でプログラムが「物」に含まれることになりました。
一方、例えば、コンビニや宅急便などの新しいビジネスの方法など多様なアイデアを保護するため、「自然法則を利用」という要件を無くしたらどうかという議論があると聞いています。
現状の発明の定義では、「自然法則を利用」とあるため、日本では、ビジネスの方法、ゲームのルール、ゴルフの打ち方などが特許になることはありません(米国では特許になり得ます)。
たぶん、記者さんもそれを念頭に記事を書こうとして筆が滑ったんじゃないでしょうか。
お読み頂きありがとうございました。
2009年1月5日月曜日
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