2010年5月9日日曜日

海外展開時に、他国の正当な権利者とぶつかった事例

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所弁理士の鈴木康介です。

今日は、海外展開時に、他国の正当な権利者とぶつかった事例の話です。

知的財産権は、国毎に権利が発生します。

ところで、商標権は選択物で、特許権や意匠権などの創作物とは異なる性質を持っています。

例えば、特許権の場合、多くの先進国では、他国で公開されている技術は、新規性が無いとして、特許権を取得できません。

このため、その技術が日本で公開されていれば、外国で第三者にその技術に関する特許権をとられる可能性は低くなります。

もちろん、その日本企業自身が、海外でその技術に関する特許権を取得するために、基本的には、日本でその技術が公開される前にその国で出願する必要があります。

しかし、商標権は特許権や意匠権などと異なり、他国で公開されていても、別の国では取得できる可能性があります。例えば、海外で第三者に勝手に自社の商標権がとられてしまったという話は聞いたことがあると思います。

それだけではありません。海外進出した場合に、正当な他国の商標権者とぶつかる場合があります。

例えば、キティで有名なサンリオが韓国に、KTという商標を出願しました。KTは、サンリオのキャラクタHello Kittyの略称としても知られています。

しかし、韓国において、サンリオのKTの商標出願は、拒絶されました。理由は、KTは、韓国最大の通信業者(日本で言えばNTTのようなもの)の名前であるという理由だったそうです。

このように、進出国の正当な商標権者の商標権と、自社の商標が同一の場合もありますし、意図せずして、進出国の正当な商標権者の権利を侵害してしまう可能性もあります。このため、海外展開を考えている場合には、最初からマーケットとして考えられる国の商標を事前に調査した方が良いです。

仮に、進出した場合に、進出国の第三者の商標権を侵害してしまうと、その国だけ名前を変更する必要が出てきて、コストアップの要因になってしまいます。

このため、例えば、以前勤務していた会社では社名変更の際、候補となる名前について、各国の登録商標の調査及び、セカンダリーミーニーングが無いか調査していました。

このように、海外事業展開を考えているなら、対象となるマーケットの商標権や名前の意味を調べてから、ブランド名を決めることをお進めします。

お読み頂きありがとうございました。

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