2012年4月25日水曜日

iPadの中国商標問題についての工商局の見解

Beijing Imperial Palace foggy day Forbidden City 北京市 (Běijīng shì) 紫禁城 (Zǐjìnchéng)
Beijing Imperial Palace foggy day Forbidden City 北京市 (Běijīng shì) 紫禁城 (Zǐjìnchéng) / Mal B

こんにちは、 あとで読む
プロシード国際特許商標事務所弁理士の鈴木康介です。

中国国家工商行政管理総局の付双健副局長は、中国商標法に基づくと、iPadの中国商標権の持ち主は中国企業(唯冠電子 Proview)にある旨の見解を示しました。

中国の法令では、以下のようになっています。

中国商標法第 39 条
登録商標を譲渡するときは,譲渡人と譲受人は,譲渡契約を締結し,共同で商標局に申請しなければならない。譲受人は当該登録商標を使用する商品の品質を保証しなければならない。  登録商標の譲渡は,許可後,これを公告する。譲受人は公告日から商標使用の排他権を享有する。
ジェトロ訳
中華人民共和国商標法実施条例 第25条
登録商標を当事者間の協議により譲渡する場合には、譲渡人と譲受人は商標局に「登録商標譲渡申請書」を提出しなければならない。登録商標譲渡申請の手続きは譲受人により行う。商標局は認可した後、譲受人に相応の証明書を交付し、且つ公告する。
登録商標を譲渡する場合には、商標登録人はその同一又は類似した商品について登録した同一又は類似した商標を一括して譲渡しなければならない。一括して譲渡しない場合には、商標局は通知し、期限を限り補正させる。期間内に補正しない場合には、商標登録人 の当該登録商標の譲渡申請は取下げられたものと見なす。商標局はその旨を書面で出願人に通知しなければならない。
誤認、混同又はその他の悪影響をもたらすおそれがある登録商標譲渡申請については、商標局はこれを認可せず、書面により申請人に通知し理由を説明する。
ジェトロ訳
簡単に言えば、中国で商標権を譲り受ける場合には、中国商標局に手続きが必要です。

今回、アップル社は、この手続きをしていないようなので、中国法上は、Proviewが中国におけるiPadの商標権者になります。

また、副局長の見解が示されたため、和解金額が上昇する可能性が高まりました。

裁判所の判断がどうなるかわかりませんが、このまま、iPadを中国国内で販売したり、中国から輸出した場合、アップル社は、中国商標法違反になる可能性があります。

このため、ある程度、金額が高くなったとしても和解に応じるのではないでしょうか。

<この事例から学ぶこと>


  • 販売前に中国商標調査をする。
  •  登録されているようでしたら、中国で商品名を変えるという方法もあります。

  • 販売前に中国商標権を取得する。
  •  販売前に、中国商標出願をして、商標権を得たり、他社から中国商標権を購入することで、紛争にかかる費用を削減できます。
     今回、アップル社も台湾の商標権は、iPad販売前に約400万円で購入することに成功しました。
     なお、日本でも商標権の譲渡を受けた場合には、特許庁に対して手続きが必要です。
    日本国 商標法 第35条
    特許法第七十三条 (共有)、第七十六条(相続人がない場合の特許権の消滅)、第九十七条第一項(放棄)並びに第九十八条第一項第一号及び第二項(登録の効果)の規定は、商標権に準用する。この場合において、同法第九十八条第一項第一号 中「移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)」とあるのは、「分割、移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)」と読み替えるものとする。
    日本国特許法 第98条
    次に掲げる事項は、登録しなければ、その効力を生じない。
    一  特許権の移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、信託による変更、放棄による消滅又は処分の制限
    二  専用実施権の設定、移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、変更、消滅(混同又は特許権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限
    三  特許権又は専用実施権を目的とする質権の設定、移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、変更、消滅(混同又は担保する債権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限
    2  前項各号の相続その他の一般承継の場合は、遅滞なく、その旨を特許庁長官に届け出なければならない。
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