2009年2月18日水曜日

簡単に特許権を共有していいの?

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、簡単に特許権を共有していいの?という話です。

よく「共同研究したから共同で特許出願をお願いします。」とか、

「出願費用を負担してくれるから、共同で特許申請をお願いします。」といった話を聞きます。

知財部がしっかりしている会社さんの場合、出願書類の書き方でも自社に有利にしたりするので、共同出願しても良いでのでしょうが、知財部がない会社さんだと、どのように権利を作っていくか注意が必要です。

共同出願して、特許権が得られた場合、相互に自由に使えます(特許法第73条第2項)。

ただし、その特許権を売ったり、自由にライセンスできなくなります(特許法第73条第1項、第3項)。

このため、例えば、セットメーカと、部材メーカが共同で出願し、特許権を得ました。どのように特許権を取るかによってその後が変わります。

<特許権が、「完成品」の場合>

 セットメーカーは、「完成品」を自由に作れます。

 部材メーカ自身は、「完成品」を作っても良いのですが、作る能力がありません。必要な部品を他のセットメーカに売っても、他のセットメーカは「完成品」を作れません。

<特許権が、「部品」の場合>

 セットメーカーは、「部品」を作っても良いのですが、作る能力がありません。また、他の部材メーカに「部品」を作らせることができません。

 部材メーカ自身は、「部品」を自由に作れます。部品を他のセットメーカに売ってもかまいません。

<事例>

 例えば、トヨタとデンソーがハイブリッド車の電気制御部品の開発を共同でしたとします。

 特許法の観点から言えば、

 「電気制御部品をつかったハイブリッド車」で権利をとれば、トヨタが有利になります。

 「電気制御部品」で権利をとれば、デンソーが有利になります。

もちろん、実際には会社間の力関係など様々な要素が絡んできますが、特許法の観点から言えば、どのように発明を権利化するかによって、その後のビジネスの展開が変わっていきます。

このため、共同出願する場合には、ご注意ください。

お読み頂きありがとうございました。

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