2011年1月23日日曜日

中国で、なぜ日本の地名が商標登録されてしまうか。

こんにちは、 あとで読む
プロシード国際特許商標事務所弁理士の鈴木康介です。

今日は、中国で、なぜ日本の地名が商標登録されてしまうかという話です。

中国で、色々と日本の地名が登録されていて、問題になっています。

例えば、JETROの調査によると以下の都道府県名などが中国商標出願をされているようです(2010年3月時点)。

<出願されている都道府県名>
青森、宮城、秋田、福島、群馬、千葉、新潟、富山、石川、福井、長野、岐阜、愛知、三重、京都、兵庫、和歌山、山口、徳島、香川、愛媛、高知、佐賀、熊本、宮崎、鹿児島

<出願されている政令指定都市名>
川崎、浜松

中国の商標法では、公衆に知られた外国地名は、登録できないされているのに、なぜ、中国では、日本の地名が登録できるのでしょうか?

実は、この「公衆に知られた外国地名(公众知的外国地名)」が問題となっています。

つまり、中国人で知られていない地名が、拒絶理由に含まれないので、このような地名は、中国で商標をとられる可能性があるのです。
(もっとも日本人も中国の23省・5自治区・4直轄市・2特別行政区を全て知っている人は少ないと思いますが。。。)

日本では、外国の地名はほとんど拒絶されますが、中国では、条文上「公衆に知られた」の要件がありますので、「公衆に知られた」の要件を満たさない地名は、拒絶できません。

このため、色々と課題はありますが、以下の解決策があると思います。

1.先に地名を中国商標出願する。
(中国商標法第10条の規定で拒絶される可能性がある。)

2.地域ブランドマークなどを中国商標出願する。
(マークの知名度を上げないと、その産地と認識されない。)

3.中国で地名の知名度を上げる。
(知名度を上げる過程で、冒認出願される恐れがある。)

4.法改正を求める。
(いつ改正されるかわからない。)

個人的には、1.2が現実的かなと思っています。


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※日本の商標審査便覧 41.103.01
外国の地名等に関する商標について

1.国家名

国家名、国家名の略称、現存する国の旧国家名は、原則として商品の産地、販売地(取引地)又は役務の提供の場所(取引地)を表すものとして拒絶する。
本国での使用文字、日本語その他の外国語で表したものも原則として対象とする。

2.地 名
(イ)首都名、(ロ)州名、(ハ)県名、(ニ)州都名、(ホ)省名、(ヘ)省都名、(ト)郡名、(チ)県庁所在地(県都)、(リ)旧国名、(ヌ)旧地域名、(ル)地方名、(ヲ)市、特別区、(ワ)著名な繁華街、(カ)著名な観光地については、直接商品の産地、販売地(取引地)又は役務の提供場所(取引地)であることが辞書その他の資料に記載されていなくても、産地、販売地(取引地)又は提供地(取引地)に結びつき得る要因があれば、原則として産地、販売地(取引地)又は提供地(取引地)を表すものとして拒絶する。

※中国商標法
第十条 下列标志不得作为商标使用:

县级以上行政区划的地名或者公众知的外国地名,不得作为商标。
(県級以上の行政区名や公衆に知られた外国の地名は、商標にできない。) 

※中国審査基準
商标由公众知的外国地名构成,或者含有公众知的外国地名的,判定为与公众知的外国地名相同。
(公衆に知られている外国の地名から構成された商標、または公衆に知られている外国の地名を含む商標は、公衆に知られている外国の地名と同じとされます。)

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