2011年2月8日火曜日

中国で、何故労働紛争が起きるか

こんにちは、 あとで読む
プロシード国際特許商標事務所弁理士の鈴木康介です。
今日は、中国で、何故労働紛争が起きるかという話です。

<事例>

本日の読売新聞に、広東省深圳市のある日系電子機器メーカーの工場で、春節前に、一人に一本、骨付きチキンを振る舞ったところ、約1,500人の従業員が騒ぎ出し、ストに突入したという記事が掲載されていました※1

特に、今の時期(春節)、地方から都会に出てきた人たちは、正月に地元に帰りたいという気持ちが強いため、問題が生じやすいように思います※2

仮に、帰る場合にも、旅費や地元の親戚や友人達へのお土産で、かなりの出費が発生します。このため、中国では、企業が従業員に一時金や、食品を支給する慣習があります。

その工場は、ほとんど最低賃金(月 約1万4000円)で雇っており、深圳市の平均賃金(月 約2万1000円)※3よりも低く、あの対応で、ストが起きてしまったのだと思います。

<背景>

日本では、長期雇用を前提とするため、最初の賃金は安く、同期間で賃金に差をつける代わりに、渡す仕事の内容に差をつけ、長い期間をかけて、人を選抜していきます。

このため、日系企業に勤めた場合、欧米系の企業と比べると、最初のうちは、賃金も低く、成果を出しても賃金があまり上昇しません。

さらに、中国の現地法人のトップは、日本人で、中国人が、現地法人の社長になることも困難だと思われています※4

また、中国に進出した企業の一部は、低賃金の労働者を採用することを目的としているため、最低賃金で雇う企業も多いです。

このため、中国人にとって、日本企業は、就職先として人気がなく、不満がたまりやすい職場環境です。

また、2008年に中華人民共和国労働契約法※5が施行され、より労働者保護が強まりました。

紛争を防ぐために、日本式の人事管理を無理に適用するのではなく、現地にあった人事管理手法を構築していくことをお勧めします。


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参考
※1 2011年2月8日 読売新聞(第14版)朝刊の一面「チャイナリスク上」より
※2 このため、春節の時は、電車の切符の詐欺や、帰れなかった人がいらいらしているので、旅行に行く場合には、注意が必要と言われています。
※3 JETRO 在アジア・オセアニア日系企業活動実態調査 -中国・香港・台湾・韓国編-(2010 年度調査)(2011年1月)のパワーポイント資料―中国編より
※4 欧米系の企業は、中国人が現地法人のトップや、本社役員になれる企業も多いです。
※5 中華人民共和国労働契約法(JETRO) 日本語仮訳 原文
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