2008年12月2日火曜日

他人から商標権による権利行使を受けた場合

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、他人から商標権による権利行使を受けた場合の話です。

例えば、Aさんが経営する都内で江戸時代から続く一部で非常に有名な料亭「さくら」があったとします。

そこでは、花板になるために厳しい修行が重ねられ、料理もサービスも一流でした。

ただ、知財(商標)に興味がなかったのが問題でした。

知らないうちに、そのAさんの商標「さくら」が京都の老舗の料亭Bに取られていたのです。

しかもずーっと気づかずに5年の月日が経過してしまいました。。。

Aさんは、バブルがはじけたので、業態を変えようと積極的に広告を打ち、知名度を上げようと努力しました。

ところがある日のこと、料亭AにBから警告状が届きました。

商標権侵害による差止請求と損害賠償請求です。

料亭Aはびっくりし、弁理士に相談しました。

料亭Bは、普通に営業しているので、不使用取消審判も無効審判もできません。

しかし、何年も前から営業をしており、有名だったので、裁判で先使用権(商標法第32条)が認められ、何とか営業を続けることができました。

今回のケースでは、たまたま有名であるなど要件を満たしていると認定され、先使用権が認められましたが、この有名か否かが取引の実情などによって判断されるため予想が困難です。

例えば、コーヒーの事例では、ある県とその周辺でシェアを30%とっていたにも関わらず、認められなかったというケースもあります。

また、古い日本酒の事例では、関西地方の権利者が権利行使使用としたが、東北地方のある県での流通事情を考え、7店舗の間で有名だから認めたという事例もあります。

このように、個別具体的に判断されるので、早めに商標をとって先使用権の主張に頼らないようにしたほうが経営は安定すると思います。

<今日のまとめ>
1.他人の登録商標の出願日前から不正競争の目的でなく使っていて、出願日前から有名であるなどの各種要件を満たすと先使用権を有することもある。
2.ただし、有名かいなかの基準はゆれるので、安全のために商標出願をしたほうが良い。

お読み頂きありがとうございました。

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