2008年12月7日日曜日

デザインの保護

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、デザインの保護の話です。

新しい椅子や、照明器具をデザインした場合、どのような保護が考えられるでしょうか?

まず、考えられるのは、意匠法(デザインを保護する法律)による保護になります。

意匠法では、登録より20年間保護することが可能です。

次に、不正競争防止法の2条1項3号による保護も考えられます。

こちらは、裁判などで立証する必要がありますが、ライフサイクルの短い商品の場合では、登録手続きが不要なため、使えることもあります。

ところで、著作権による保護はどうか?という話もありますが、これにはいろいろな議論があります。
(いわゆる応用美術の問題です。)

著作権の規定には、「著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」という規定があります(著作権法第2条1項1号)。

椅子が著作権法で保護されるには、この「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属する」かどうかが問題になります。

例えば、博多人形が、意匠登録が可能であるからといって、著作権法上の保護の対象から除外すべき理由とすることもできない。といった裁判例もあります。

これを考えると、デザイン性の高い椅子も保護されてもいいような気がしますが、自分は、宮内庁御用達の一品ものレベルの椅子でもない限り、著作権による保護は難しいのではないかなぁと思っています。

仮に、著作権による保護が認められると、椅子に対して、作者の死後50年間権利が残ってしまいます。これは、他の法域による保護とのバランスも欠きます。

さらに、実態審査を受けた上での登録制度がないため、第三者の予測可能性を欠くため、かえって文化の発展を妨げてしまうのではないかなぁと思っています。

お読み頂きありがとうございました。

テクノラティお気に入りに追加する

0 件のコメント: