2008年10月26日日曜日

企業買収時の商標権の取り扱い

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、企業買収時の商標権の取り扱いの話です。

「ある企業を買収した場合、その企業が保有している商標権はどうなりますか?」

と知り合いのHさんから質問が来ました。

「鈴木さん、

 合併は、組織法上の行為であり、合併消滅会社の有する一切の
 権利関係は、当然に合併存続会社に引き継がれるから、商標権
 の移転の登録は、 今すぐ手続きしなくてもいいよね?

 更新時に手続きしようかと思うんだけど。まぁ問題ないよね?」
(ちなみに、商標権は、基本的に10年ごとに手続きをすることによって権利が更新されます。)

「基本的には、Hさんさんのおっしゃるように、
 合併なので、商標権は御社に承継されています。

 このため、移転の登録手続きは、更新のタイミングでもかまい
 ません。

 しかしながら、いくつかリスクがあります。

 第1に、例えば、住所などが今回の合併で変わった場合ですと、
 特許庁は移転手続きをしない限り、わかりません。

 このため、不使用取消審判(長いこと使っていない商標権を取
 り消す審判)を起こされた場合などに、特許庁から前の会社の
 住所に連絡が行き、買収に伴って、事業所が移転した場合、御
 社に連絡が行かない可能性があります。

 特許庁さんも、努力はしてくれているようですが、限界がある
 ようです。

 第2に、権利行使などを考えた場合、御社が商標権者であると
 証明するのに少々時間がかかってしまう場合があります。

 登録免許税は、合併の場合には、1商標権あたり、3000円
 ですので資金の問題もあるでしょうが、今、移転登録を考えら
 れてもいいのではないですか?」

「なるほどね。

 あとは、資金繰りのタイミングかなぁ。
 わかった。ありがとう。」

<今日のまとめ>
1.企業を買収した場合、商標権は一般承継される。
2.なるべく早めに特許庁に移転登録申請をしたほうが良い。

お読み頂きありがとうございました。


起業家支援プロジェクト DREAMGATE

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