2008年10月30日木曜日

使っていない商標を取り消すことができる(不使用取消審判)!

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、使っていない商標を取り消すことができる制度である不使用取消審判の話です。

日本では、商標を登録するときの審査において、申請した者(出願人)がその商標を使用しているかどうかを調べません。

ただ、出願人が、商標を使用する意思があれば、登録することができます。

このおかげで、商標を使用する前であっても登録が可能ですので、新商品を出す前に商標を登録して、事前に新商品を保護することが可能になります。

また、企画の段階で、複数の候補名やロゴを商標登録することによって、事業展開の幅を確保することも可能になります。

このためか、日本では、毎年数多くの商標出願があり、多くの商標が登録されています。

例えば、
2007年では、143,221件の商標出願があり、登録された商標は、 96,531件ありました。
2006年では、135,777件の商標出願があり、登録された商標は、103,435件ありました。

そして、商標権は、特許権や意匠権と違って、更新すればいつまでも権利が存続します。

このため、使っていない登録商標も、基本的には更新手続きさえすれば、いつまでも権利が存続してしまいます。
(日本では、更新時に商標を使用しているか否かを調べないため…。)

もしも、使っていない登録商標がいつまでも権利が存続してしまうと、その商標を本当に使いたいと思っている他人にとっては、商標選択の自由が奪われることになってしまいます。

また、そもそも商標制度は、使っている商標に付いた信用を守る制度です。

このため、商標法では、このように使われていない登録商標を取り消して、商標選択の自由を確保するため不使用取消審判という制度が作られています(商標法第50条)。

不使用取消審判では、3年間以上、正当な理由なく、日本国内で使われていない登録商標を取り消すことが可能になります(商標法第50条)。

例えば、ある商標を出願し、その後、先に登録されている似たような他人の商標があるという理由で、拒絶理由が来たとします。

そして、調べてみるとその他人の登録商標が3年以上国内で使われていないことがわかりました。

最初は、その商標を買い取ろうと交渉を始めましたが(自分の商標になっても拒絶理由が解消される)、かなりの金額を要求されたので、不使用取消審判を請求し、その他人の登録商標を取り消しました。

このように、不使用取消審判を利用することで、その他人の商標を取り消し、自社の商標を登録することができます。

<今日のまとめ>
1.商標は3年以上日本国内で使用していないと取り消され得る。
2.拒絶理由の解消方法の一つとして利用できる。

お読み頂きありがとうございました。


起業家支援プロジェクト DREAMGATE

テクノラティお気に入りに追加する

0 件のコメント: