2008年10月30日木曜日

新商品を展示会に出す前の準備(新規性)

こんにちは、

プロシード国際特許商標事務所
弁理士の鈴木康介です。

今日は、新商品を展示会に出す前の準備の話です。
(知財以外にも展示会前に行う準備は数多くあるでしょうが。本ブログでは知財の話です)

新商品の完成後すぐに、「展示会に出展して顧客をつかむぞ!」とあわてて何も手を打たずに新商品を展示会に出展すると、出展後に他社から模倣品が販売され、模倣品問題に悩まされることがあります。

せっかく新商品を開発したのに、結局、安価な模倣品にシェアを奪われ、開発費などの回収が困難になってしまうのです。

そこで、模倣品の問題が発生してから、「模倣品から自社の技術を守るのが特許なんだろ。だから、新商品をを特許権などで守ればいいじゃないか。」と考えるかたもいるでしょう。

このような相談をたまに受けています。

しかし、残念ながら、出展後に新商品に関連する特許権を取得しようとしても、もう権利を取得することは非常に困難になります。

つまり、展示会で出展した新商品に使われている発明が世間一般に知られてしまうと、その発明はもう新しいものではないので特許権を取得することができなくなるのです(特許法第29条第1項)。

また、意匠権も基本的に取得できなくなります(意匠法第3条第1項)。

なお、意匠権は、ある種の手続きを6月以内に行えば、日本国内では意匠権を取得することができます(意匠法第4条)。しかし、仮に、その手続きをしたとしても、残念ながら一部の外国では権利化できません。

一方、新商品を展示しても、商標権の取得はできますが、展示会で展示したばっかりに、先に他人に新商品と同じ名前で商標出願の申請手続きを行われてしまい、自己の取りたかった新商品の商標が、他人に登録されてしまう可能性があります。

このように、展示会で出展してしまった後には、特許権・意匠権・商法権などの保護を得ることが難しくなってしまいます。

このため、特許権や、意匠権や、商標権が必要な場合には、展示会に出展する前に、特許出願・意匠出願・商標出願などを行うことを強くお勧めします。

特に、模倣の起き易い国でビジネスを行う場合には、展示会の出展前に新商品をどのように守って行くかを熟慮されると良いと思います。

<今日のまとめ>
1.特許は、展示会で発表すると権利化するのが難しい。
2.意匠は、展示会で発表してから6ヶ月以内だと権利化できる。
3.商標は、展示会で発表しても権利化できる。
4.展示会に出展する前に、知財による保護を始めたほうが良い。

お読み頂きありがとうございました。


起業家支援プロジェクト DREAMGATE

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